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» 2008年10月17日 13時20分 UPDATE

誠倶楽部II:「中2でApple株を買った」――投信王1位の東大生に運用の極意を聞いてきた (1/2)

10億円の仮想資金を日本株で運用し成績を競う日興アセットマネジメントの「投信王」。夏の陣(7〜9月期)で最も優れた成績を収めたのは、弱冠21歳の東大生だった。期間内に日経平均株価が16.48%も下がる中、+34.58%という驚きのパフォーマンスを叩き出した運用のコツを聞いてみた。

[分散投資特集取材班,Business Media 誠]

 日興アセットマネジメントが主催するバーチャルトレード選手権「投信王」(参照記事)。10億円の仮想資金を日本株で運用し、成績を競うというものだ。投信王では期間ごとに優秀な成績を収めた人を表彰しており、夏の陣(7〜9月)の表彰式が10月14日、東京ミッドタウンで開催された。

 夏の陣が開催された7月から9月、日本市場は大荒れだった。7月には日経平均株価が12営業日続落、8月には不動産大手のアーバンコーポレーション、9月には米リーマン・ブラザーズがそれぞれ破たんしたため、市場の不安心理が悪化した。夏の陣期間中の日経平均株価騰落率は、マイナス16.48%だった。

ah_mb.jpg 表彰式の模様。左から4位のCambellさん、1位のもりたさん、日興アセットマネジメントのビル・ワイルダー社長、3位のT-111さん

 そんな厳しい相場環境下、2358人の参加者の中で最も優れたパフォーマンスを叩き出したのがHN(ハンドルネーム)「もりた」さん。3カ月間でプラス34.53%という驚くべきパフォーマンスを記録したのだ。日興アセットマネジメントのビル・ワイルダー社長も、「運用経験が長いファンドマネージャーでも苦労するような相場環境で、こんな数字を出せるのは“天才”と言える」と絶賛した。

 もりたさんは東京大学文科二類の2年生(経済学部に進学予定)、同大学の投資サークル「Agents(エージェンツ)」のメンバーでもある。好成績の理由を尋ねられたもりたさんは「購入した銘柄が翌日に15%上げたりと運が良かった」と謙遜するが、この下げ相場をプラス収支で終えられたのは2358人のうち、わずか33人。もりたさんは、いったいどのような運用をしていたのだろうか?

 かなり市況が悪いと感じていたもりたさんは、積極的に株式を購入することは控え、現金比率を高める作戦に出た。購入する銘柄はAgentsのメンバーたちと相談して決め、ポートフォリオ※はディフェンシブ銘柄※が中心だったと振り返る。「リーマン・ショックで暴落した時でも、戻してくるところを短期売買で取っていって好成績をあげられた。投資信託の運用としてはあまり良いことではないですが……」

※ポートフォリオ……金融資産一覧のこと
※ディフェンシブ銘柄……景気動向に左右されにくく安定した需要がある業種の銘柄のこと。上げ相場での上昇率が小さい代わりに、下げ相場での下落率も小さくなる傾向にある。食品、医薬品、電力、ガス会社などが当てはまる

 夏の陣中盤で1位に躍り出ると、もりたさんはほかの上位者の運用方法を分析。「日々の値動きから、上位者がどの銘柄を持っているか大体分かった」(もりたさん)ため、上位者の保有銘柄と同じような銘柄を組み入れて“相対的”に負けないポートフォリオを構築、逃げ切りに成功した。

最初に買った銘柄はApple

yd_morita1-290.jpg もりたさん

 もりたさんが株式投資を始めたのは、中学2年生の時。お年玉などを貯めて、26万円ほどでスタートした。

 しかし当時(2001年ごろ)の日本株は、26万円だと最低売買価格でも購入できない銘柄が多かった。そこでもりたさんが目を付けたのが、少ない元手でも投資できる米国株。米国の証券会社に口座を開いて、Apple株を購入した。「途中で売ったため、もうほとんど残っていませんが、買った値段の10倍ほどになっています」ともりたさんは言う。

 そして東京大学入学後、株式投資サークル「Agents」に加入。定例会でさまざまな企業を研究したことが、投信王での銘柄選択でも役に立ったという。ちなみに夏の陣では学生団体対抗部門も設けられており、Agentsが1位を獲得している。

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