住宅ローンの返済が滞ったとき……銀行への対処法は?(中編)著者インタビュー(3/3 ページ)

» 2008年10月15日 07時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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 住宅ローンを返済できなくなった場合には、どのように対処すればいいのだろうか。親戚や消費者金融などからお金を借りればいいのか、それとも“ギブアップ”して競売にかけられるのを待つだけなのか。「よほど見通しが確実でもない限り、“住宅ローン返済のための新たな別のローン”は決してお勧めできない。少ない金額でもいいので、返済を継続することは誠意を見せる点でも重要。返済日前に金融機関を訪問し、返済が難しくなった理由と返済可能な金額を手渡すことが大切」という。次に「現時点の収入に合わせた返済方法に変更・修正を依頼するといいだろう」。給与明細や源泉徴収票などを用意して、金融機関の担当者と交渉すれば、返済金額などを変更してもらうことも可能。それでも返済が滞れば、債務整理の手続きに入らなければならない。債務整理の手続きとして、「自己破産」「任意売却」「個人版民事再生」※などが考えられる。

債務整理について

自己破産

裁判所へ自己破産の申立てをし、生活必需品以外の財産を返済にあて、借金を免除してもらう手続き。

任意売却

金融機関に競売で家を売却されるのではなく、専門業者や弁護士などが仲介して、債務者が自由に家を売却すること。

個人版民事再生法

債務者は裁判所へ申し立てをし、その申し立てが認められれば、借金を免除してもらうことができる。ただ、家は売却される。


団体信用生命保険の問題点

 警察庁の統計資料によれば、2007年度の自殺者数は3万3093人、このうち経済や生活問題が動機と見られるのは24%。「この中には、マイホームを守るために死を選択した人もいるだろう」(石川氏)。その理由の1つとして石川氏は、団体信用生命保険を挙げる。住宅ローンを借りるときに必ず加入させられる団体信用生命保険は、借主が死亡した場合、遺族には住宅ローンが免除されるというもの。

 「団体信用生命保険のメリットは、一家の大黒柱が不慮の死によって返済できなくなった時に、その債務が免除されること。だが一方で、支払いの際に死因が問われないことは問題だ。『住宅ローンが返済できない』といった人たちに、家族に家を残すためにあえて“死”という選択肢を与えているのではなかろうか。命を捨ててまで家を守る必要はない。家を立ち退きになったあとも住宅ローンの残債を返済しなければならないシステムに問題がある」という。

 次回に続く。

 →今、そこにある“日本版サブプライムローン”の危機(前編)

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