マンション VS. 一戸建てはどちらが合理的?――住居スタイルで比べてみる2−2.住まいの選択、完全理解!

» 2008年10月14日 07時00分 公開
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 2000年から分譲マンションがグッドデザイン賞の対象とされるようになりました。入賞したマンションの例として、設備や色を自分の好みに合わせられるセミオーダーシステムの採用や、社宅をリノベーションしたもの、多様なプランを用意したものなどが挙げられます。

 物件そのものの美しさ・住みやすさにプラスして、周辺環境と調和するよう配慮された外観、緑やオープンスペースを豊かにするなど、心地良い暮らしを総合的に作ることで新しいライフスタイルを提案しているものが多く、住まい全体をデザインした物件が評価へとつながっています。さらには、シネマシアターやキッズランド、ホテル顔負けのコンシェルジュサービスなど、多彩な共有スペースやサービスを備えたマンションも登場しています。

 また、下の図を見ると、「都心部に立地している」「周辺環境が自然に恵まれている」「間取りに可変性がある」などが、マンションを購入する際の重要なポイントになっていることが分かります。デザイン性の高いマンションが続々と登場している背景の1つといえるでしょう。

理想とするマンションタイプと購入を検討しているマンションタイプの相関関係

 建て替えやリフォームの際にすべてを希望通りにすることが難しい反面、集合住宅であることを上手に利用し、多角的に優れたデザインや個性的なサービスなどを備えたマンションが昨今人気となっています。

見える部分+見えない部分をデザインする「一戸建て」

 マンション同様、一戸建てでもグッドデザイン賞を受賞する例が増えています。

 一戸建て住宅の受賞作品の例として、夏は日差しをさえぎり、冬は日差しを取り込むことができる外壁・外構部品により冷暖房の使用を減らすことで環境に配慮したシステムを採用したもの。風と光を通しながらも外からの視線はシャットアウトする部品を採用したもの。木材を使うことで通風を確保し、街並みの景観を損ねないものなどが挙げられます。さらに、地震大国である日本の現状を踏まえたことから生まれた制震装置や耐力壁などの住宅部品は、新築物件だけでなくリフォームにも活用できるとして評価されています。

 マンション同様に街並みや環境に配慮したデザイン性に加え、耐震性とリフォームのしやすさに注目が集まっているのは、増改築が自由にでき、建て替えが可能な一戸建てならではの理由といえるでしょう。

 下のグラフを見ると、住宅を選ぶ際のポイントとして「日当たりや風通し」がトップになっています。しかし、一戸建てはマンションに比べて建物の気密性が低い分、冷暖房の効率が悪く、部屋数の分だけエアコンが必要になる場合もあります。また、都心に近づくほど隣地との間隔が狭く、日当たりの良い物件が少ないのが現状です。こうした現状に対する不満を少しでも解消できるが最新の技術やシステムなのです。

住宅を選ぶ際のポイント

 このように、環境への配慮や優れた耐震性など、見えない部分をデザインすることで快適さを求める一戸建ての需要は、今後さらに高まることは間違いないといえるでしょう。

総合的にデザインすることで生まれる「住み心地の良さ」

 今回、マンションと一戸建てを比較するにあたり、どこまで個性を出すことができるかの目安としてグッドデザイン賞に着目しました。グッドデザイン賞とは、1957年に旧通商産業省により創設された、日本で唯一の総合的デザイン評価・推奨制度のことで、50年以上にわたって国内外のさまざまな分野からエントリーされた商品やサービスを審査してきました。

 このコンペは、単に見た目の美しさを競うだけではなく、生活がより豊かになるよう総合的にデザインされているかがポイントとなり、近年、マンションや一戸建てなどの住宅分野なども対象となりました。現在では、住宅業界が受賞を競い合うほどまでに広がり、エントリーが増加傾向にあります。そして、両者ともに受賞した作品のほとんどが、住み心地はもちろんのこと、環境への配慮や街並みを損ねない外観などから生まれる美しいデザインが評価されています。

 この一連の流れより、都心に住みながらも緑豊かな環境を求めているマンション派、物件選びの欠かせない要素に日当たりと風通しがトップである一戸建て派と、共に住宅を選ぶ際の決め手として、心地よい暮らし=自然環境を重視していることが分かります。

 いろいろな角度によりデザインされた物件が続々と登場する現代、住み心地を含めた「デザイン性」から両者をじっくり比較・検討してみてはいかがでしょうか。

個性は出せるか?

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