東京メトロ南北線の両端を延伸し、目黒駅で東急目黒線と、赤羽岩淵駅で埼玉高速鉄道線と相互直通運転を実施する計画。また、埼玉高速鉄道線は浦和美園から岩槻を経由して蓮田へ延伸する計画。南北線部分は18号答申の翌年に完成した。残すは埼玉高速鉄道線の延伸である。
埼玉高速鉄道線の延伸は埼玉県からの強い要望によるものだった。その目的は鉄道空白地域の解消と新規住宅開発のほか、東北本線、東武野田線の混雑を改善し、赤羽、大宮へ集中する人やクルマの流れを分散させるためだったという。
しかし、(1)埼玉高速鉄道が当初の目論見通りの旅客輸送を達成できず、厳しい経営状況であること、(2)沿線地域で期待通りの開発計画が生まれなかったこと、(3)延伸には多額の公的資金が必要であること。これらの理由から、計画は停滞する。東北本線と東武野田線の混雑が、それぞれの鉄道会社の努力で解消しつつあることも緊急性の低下につながっている。
埼玉高速鉄道の業績不振を受けて、推進役だった埼玉県は「埼玉高速鉄道検討委員会」を設置し、経営改善や延伸問題に関する提言をまとめた。その後、延伸問題を継続して審議するため、2005年に「埼玉県高速鉄道延伸検討委員会」を設置して、現在も検討を続けている。
公開されている議事録を読んでみると、蓮田方面延伸に関しては早々に立ち消えとなり、岩槻駅延伸と東武野田線への乗り入れについて検討しているようだ。また、高速運転を実施するため、既存区間に追い越し設備を設置することなども話し合われている。まずは既存区間の魅力を高め、経営を安定させる方針のようだ。
2006年には浦和美園駅近くに大規模ショッピングセンターが誕生し、ようやく沿線に動きが出始めたところである。浦和美園駅の北、徒歩15分には埼玉スタジアム2002があり、Jリーグの試合も開催されている。埼玉高速鉄道の車両基地はスタジアムの400メートルほど手前まで到達しており、せめて車庫の横に簡易な駅を作ってくれたら便利だろうと思われるのだが、そのわずかな投資もできないほど厳しい状況なのだろうか。
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