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» 2008年10月10日 07時00分 UPDATE

ECO建築探訪:省エネのための3つの循環利用とは?――ハウステンボス(後編) (1/2)

長崎県のハウステンボスでは、環境負荷を低くすると同時に、運営コストも下げるという課題に挑戦している。課題を解決するため、施設のインフラを整備して「熱」「水」「廃棄物」の循環利用を行っているのだ。

[水谷義和,Business Media 誠]
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水谷義和(みずたによしかず):ウッドノート代表取締役。1995年早稲田大学理工学研究科建設工学(都市環境)修士課程修了後、竹中工務店に入社。東京ドームシティLaQua(ラクーア)や汐留芝離宮ビルディングなど省エネ施設の企画、設計に数多く携わる。2003年には、世界ガス会議・環境調和型都市デザイン国際コンペで、日本代表選考コンペ優秀賞受賞。2005年に竹中工務店を退職し、竹中工務店の同僚と2005年にウッドノートを設立。建物・環境・エネルギー・ファイナンスの専門医として、建物・施設の健康管理および価値向上のサポートを行っている。


 長崎県佐世保市の滞在型テーマパーク、ハウステンボス。数十万本の樹木や花を育てたり、施設を維持したりするために莫大な量の水やエネルギーを消費しているが、環境負荷や運用コストを減らすためにさまざまな試みを行っている。前編で概要を紹介したのに続き、後編は具体的にどのように施設を省エネ化しているのかを見ていこう。

 →花と水の楽園の再建を目指して――ハウステンボス(前編)

ah_hausu.jpg ハウステンボス

生活に不可欠なものは?

 まず本題に入る前に、ご自身の1日の行動を思い返していただきたい。

 朝食を食べて通勤電車に乗り、会社ではPCに向かって仕事。会社帰りにフィットネスクラブに寄り、家に着くと夕食をとって、風呂に入った後はテレビを見ながら疲れを癒す……。

 さて、1日の行動を思い返した時、支障なく日常生活を送るために不可欠なものは何だと思われるだろうか?

 いくつか候補はあるだろうが、絶対に外せないものとして挙がるのは電気やガス、水といったインフラだろう。電気がなければ照明やテレビは使えないし、PCで仕事をすることもできない(電車だって動かない!)。また、水がなければ炊事や洗濯はできず、風呂にも入れない。

 また、モノではないがごみの処理も重要だ。環境省によると、1人1日当たりのごみ排出量は1106グラム。誰かがごみを回収して処理してくれなければ、街中に廃棄物があふれ、身動きがとれなくなってしまうだろう。

 我々が快適に生活できるのはこうしたインフラを整備するために、各関係機関が計り知れないほどの努力を払っているからだ。しかし、滞在型テーマパークのハウステンボスでは、年間200万人以上が日常生活以上の快適性を求めて来るため、さらに高いレベルのインフラを整備しなければならない。それでいて、1企業として経済性や環境性を向上させなければならないのだ。

省エネを推進するのは産学連携の「省エネルギー委員会」

 経済性・環境性を向上させるための研究を、ハウステンボスでは産学連携で行っている。この研究の中心的な組織が「省エネルギー委員会」で、電力会社やガス会社、学識者などの専門家で構成されている。

 省エネルギー委員会は2004年6月、ハウステンボスのエネルギー使用量を削減することを目的に設立された。電気やガスなどの使い方を見直すことで、より効率の良い運営を行えるよう苦心している。

 委員会は1年に4回、3カ月おきに開かれる。省エネのための行動計画を立案しているほか、計画実施後の効果を検証している。電力会社やガス会社だけだと解決策が部分的になりがちだが、第三者的な立場として学識者が参加することで全体最適を目指せるようになっている。

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