高付加価値化に取り組んでいるのは“シンボリック・エリア”の別府湾SAだけではない。西日本高速道路サービス・ホールディングスでは、既存のSA・PAも次々とリニューアル。ドライバーの利便性向上を図るとともに、収益性の改善に努めている。
その1つが、九州自動車道にある「基山PA」だ。ここは九州のPAの中でも大型の施設で利用客も多い。さらに九州自動車道で初めてナショナルチェーンのコンビニエンスストアが出店したPAである。SA・PAに展開するコンビニは「Highway Pit」と総称されており、公募により、ナショナルチェーンのコンビニが出店する形を取っている。
基山PAに出店するのはローソン。基本的な品揃えは市中店と同じだが、お土産物や産直の生鮮食料品が並ぶなど、Highway Pitならではの特長もある。また、PAでは「24時間営業の明るいコンビニがあるだけでも、お客様の満足度向上に繋がる」(西日本高速道路サービス・ホールディングス)という。
また、基山PAのHighway Pitでユニークと感じたのは、ローソンの店内と併設して、ドラッグストアが設けられていたことだ。小規模な店舗であるが、市販薬が並ぶ。中でもよく売れるのは、目薬やドリンク剤だという。
既存のSAの中では、同じく九州自動車道にある「古賀SA」も高付加価値化のフラッグシップだ。こちらは2008年7月に大規模リニューアル。軽食ラウンジゾーン、ショッピングゾーンともに、床面積の拡大と設備をリフレッシュしたことによって先進化が施されたという。
なかでも圧巻なのが、その「広さ」だ。九州のSAでは随一となる広大な床面積を誇り、利用者が回遊しやすいように幅広の通路がぐるりと巡っている。お土産物が並ぶショッピングゾーンはきれいに整理されており、集中レジの導入により精算スピードの向上を図ったという。
これらの取り組みにより、古賀SAのショッピングゾーンは、客単価が約2000円ととても高い。また、クレジットカードや電子マネー(Edy、QUICPay)の利用率が、全体の決済の約3割に上るという。「目指したのは『デパ地下』のイメージ」(西日本高速道路サービス・ホールディングス)というが、そのリニューアル効果は着実に現れているようだ。
さらにもう1つ、古賀SAで注目なのは、“高速道路に乗らない利用客”が増えていることだ。これは一般道からSAの施設に入れる「ウェルカムゲート」の設置効果であり、現在では一般道利用者向けの駐車場が常に混雑するほど盛況だという。
「ウェルカムゲート利用者に人気なのは、ベーカリーの『APETITO』や、レストランですね。着実にリピーターが増えています」(西日本高速道路サービス・ホールディングス)
SAのビジネスモデルの柱は“高速道路利用者にどうアプローチするか”だが、ウェルカムゲートを通じて一般道からの利用者が増えれば、高速道路利用者に加えて、近隣住民の「日常利用」のニーズも掘り起こせる。むろん、SAの立地による影響もあるが、魅力的な店舗を出店することで、新たな客層の開拓ができそうだ。
SA・PAの最近の取り組みでもう1つ注目なのが、インターネットサービスへの対応だ。西日本高速道路では主要なSA・PAにNTTコミュニケーションズの公衆無線LANアクセス「ホットスポット」を展開。さらに一部のSA・PAでは、パソコンを利用するための専用ラウンジサービス「ハイウェイオフィス」を設置している。
ハイウェイオフィスでは、ホットスポットの利用に加えて、無料の電源貸出サービスや、プリントサービス、さらに設置PCを利用したインターネットアクセスもできる。高速道路の移動中にネットを見たり、観光や仕事の資料をプリントするといった使い方ができる。
なお、西日本高速道路サービス・ホールディングスでは「ホットスポット」の利用促進のため、ホットスポットの1日利用券を無料で提供するキャンペーンを行っている。配布枚数限定であるが、「少なくとも年内は続ける予定」とのことだ。
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