退職後の生活、最も悲観的な国は?

» 2008年09月30日 13時25分 公開
[Business Media 誠]

 年金記録の改ざん問題など、公的年金制度に不安を感じてる人は多いはず。こうした不安は退職後の生活に対する見方も、悲観的にさせているようだ。

 退職後の生活について楽観的に感じているのはアジアの4カ国(インド、マレーシア、中国、タイ)に対し、悲観的なのは7カ国(日本、ハンガリー、ポルトガル、フランス、ドイツ、イタリア、チェコ共和国)。中でも、最も悲観的なのは日本であることが、保険・金融グループAXAの調べで分かった。

 悲観的に考えている7カ国のうち6カ国は、就労者の大半が自国の年金制度について「危機的状況にある」または「深刻な問題を抱えている」と認識。特に日本、ハンガリー、ポルトガル、ドイツではその割合が4分の3を上回っている。さらに公的年金の「受給額が減る」と回答したのは、日本が最も多く94%、逆に最も少なかったのは中国で15%。「退職後の生活について楽観的か悲観的かは、自国の公的年金制度をどのようにとらえているかが影響している」(AXA)

 電話による調査で、25歳以上の就労者と75歳未満の退職者1万7866人が回答した(日本は就労者と退職者、各300人)。調査対象国は米国、ドイツ、フランス、中国、英国など27カ国・地域。調査時期は2007年7月から9月。

退職後の楽観度と悲観度指数(出典:AXA)

楽観的な東南アジア、その理由は?

 退職後の生活水準については、全体の3分の1以上が「低下する」と考えているのに対し、タイ、インド、中国、マレーシア、フィリピンでは同様に考えている就労者の割合は4分の1を下回った。さらに東南アジアでは、「退職後の生活は親の世代よりもよくなる」と答えた就労者の割合が75%(全体では56%)、「子どもの世代ではさらによくなる」が同70%(全体では48%)。家族による経済的な支援について聞いてみると、「子どもが退職した親を支援するべき」と回答した就労者の割合は、香港で95%、インドで84%、東南アジア全体で80%に達した。「楽観的な見通しの背景には、各国の経済的発展だけではなく、家族によるサポートが支えになっていると考えられる」(AXA)

 また米国、カナダ、英国、オーストラリアでも、退職後の生活については楽観的な見方をしている。「退職後の生活設計については個人が責任を負うべき」と考えている就労者の割合が、英国89%、オーストラリア87%、米国81%と、全体の70%を上回った。退職後の生活の準備を始める年齢は、英国28歳、米国・カナダ30歳と、27カ国の上位3位を占めており、「自立心と計画性を持って準備していることが楽観的にリタイアメントをとらえることができる要因」(AXA)と見ている。

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