調査リポート
» 2008年09月19日 14時39分 UPDATE

改正パートタイム労働法を受け、待遇を見直した企業は50%未満

4月1日から「改正パートタイム労働法」が施行されたが、実際にパートタイマーの待遇を見直した企業はどの程度あるのだろうか。労務行政研究所の調べによると、「見直した」企業は48.1%と半数を割った。

[土肥義則,Business Media 誠]

 4月1日から施行された「改正パートタイム労働法」(正式名は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)。改正パートタイム労働法では企業に対し、正社員並みに働いているパートタイマーを正社員と同じ待遇にするよう義務付けている。しかしパートタイマーの処遇を「見直した」企業は48.1%と半数を割っていることが、労務行政研究所の調べで分かった。「特に見直していない」と回答した企業は51.9%だったが、労務行政研究所は「改正法の施行前から法が求める程度の処遇をすでに実施していた企業もあるだろう」(労務行政研究所)と見ている。

 またパートタイマーから正社員への転換を推進しているか、と聞いたところ「法改正以前から講じている」が42.3%、「法改正を受けて講じるようになった」が24.2%、「特に講じていない」が33.5%。「法改正以前から講じている」と答えたのは、従業員300人未満の企業が多く48.4%。一方、1000人以上の大企業では「法改正を受けて講じるようになった」が38.9%と、ほかの規模に比べて多い。

 「法改正以前から講じている」または「法改正を受けて講じるようになった」と回答した企業に対し、パートタイマーを正社員に転換する際の基準を聞いたところ、「能力」が最も多く89.5%。以下「勤務成績、勤務態度」(73.7%)、「業務上の必要性」(67.5%)、「正社員転換試験の成績」(46.5%)と続いた。正社員になるための試験を設けている企業は54.2%に達したが、「実際には試験で落ちた人はいない」「筆記試験ではなく面接試験なので、成績はあまり考慮しない」という企業もあった。「正社員への登用に当たっては『能力』や『勤務成績』といった、日ごろの働きぶりへの評価が大きなポイント」(労務行政研究所)としている。

yd_work.jpg 改正パートタイム労働法の施行に伴う、パートタイマーの処遇に関する見直し状況(出典:労務行政研究所)

「賞与」と「退職金」の見直しは進まず

 改正パートタイム労働法では正社員並みに働くパートタイマーに対し、賃金や教育訓練などの差別を禁止したが、実施状況はどのようになっているのだろうか。「賃金」については、「法改正に関係なく、従来から均衡待遇を実施している」が63.6%、「パートタイム労働法の改正に伴い、均衡待遇を実施した」が9.1%、「均衡待遇の実施を検討している」が18.2%と、約9割の企業が改正法に対応、または予定しているようだ。

 しかし「賞与」については62.5%、「退職金」は77.8%の企業が、均衡待遇を「実施していない」と回答。その理由を聞いたところ、「個別に同意を得ているため」「現状では特に考えていない」が目立った。この結果について労務行政研究所は「企業がパートタイマーを雇用する大きな理由は、人件費の効率化。法が改正されたとはいえ、企業にとって人件費の増加に直結する『退職金』や『賃金』をすぐさま正社員と同等の待遇に引き上げることは困難かもしれない。また法に違反した企業に対し、罰則規定がないことも均衡待遇が進まない要因だろう」としている。

yd_work1.jpg 均衡待遇の実施状況(出典:労務行政研究所)

 全国証券市場の上場企業3798社と上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)349社にアンケートを送付し、240社から回答を得た。調査期間は5月29日から6月30日まで。

改正パートタイム労働法

パートタイム労働法とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所で働く正社員の所定労働時間に比べて、短い労働者を対象とした法律。「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者であれば、パートタイム労働法の対象となる。

主な改正点は(1)労働条件の文書交付等・待遇の説明義務(2)均衡待遇の確保(3)通常の労働者(正社員)への転換の推進などの措置を求めている。


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