裁判員制度への対応企業、休暇は“有給扱い”が89.2%

» 2008年09月17日 15時55分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 2009年5月から始まる裁判員制度。裁判に市民が参加するという意義がある試みだが、開始するに当たって問題となるのは、従業員が裁判員に選ばれた場合の企業の対応だ。

 労働基準法7条では、労働者のために「公民権行使の保障」を定めており、裁判員参加も公民権行使の1つとして該当している。そのため、従業員が裁判員に選ばれ、休暇を申請した場合、企業は拒否することはできない。しかし、法律としての取り扱いは決まっていても、企業内でのルールが定まっていないと、裁判員制度が円滑に機能することは期待できないだろう。

 労務行政研究所の調査によると、従業員が裁判員に選ばれ、休むことになった場合の取り扱いをすでに決めている企業は46.5%とまだ半数に届いていない。以下、「今後検討する」(30.5%)、「現在検討している」(21.8%)の順となっている。

従業員が裁判員に選ばれて、休むことになった場合の取り扱いの決定状況(出典:労務行政研究所)

裁判員として休んだ場合、有給扱いにする企業は89.2%

 企業で働く正社員はどのようなルールのもとで裁判員として参加することになるのだろうか。対応を決めている企業にその内容を聞くと、最も多かったのは「従来から公職に就く場合の休務ルールを就業規則で定めており、そのルールを適用する」で62.8%だった。以下、「裁判員に選ばれた社員のみを対象とする裁判員休暇制度を新設」(23.9%)、「裁判員やほかの公職に就く場合、参政権を行使する場合などに利用できる休暇制度を新設」(7.1%)が続いた。

裁判員制度への対応を決めている企業の取り扱い内容(出典:労務行政研究所)

 労働基準法7条では、労働者に公民権行使に要する時間を与えた場合、その時間の給料を有給にするか無給にするかは、当事者の自由と規定している。

 取り扱いを決めている企業に、社員が裁判員で休んだ場合の給料について尋ねたところ、89.2%の企業が「通常勤務時とまったく同じ(有給)扱いとする」と回答。「無給とする」とした企業は8.4%に過ぎなかった。

 また正社員以外、パートタイマーや契約社員などの非正規社員については、「正社員と同様に適用」とする企業が75.4%。「正社員と取り扱いが異なる」は15.4%、「その他」が9.2%だった。

 インターネットによる調査で、対象は人事資料誌『労政時報』の会員Webサイト「労政時報クラブ」の登録会員243人(1社当たり1人)。調査時期は7月22日から8月8日。

社員が裁判員として休んだ場合の給料の取り扱い(出典:労務行政研究所)

関連キーワード

裁判 | 休暇 | 給料 | 法律


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.