国内ETFは取引の方法自体は、通常の株取引と同じだ。手数料も通常の株式取引と同じように支払う。
しかし株式取引と異なるのは、信託報酬がかかること。各ETFによって異なるが、年率0.1〜1%程度の信託報酬を支払うことになる。同じ野村アセットマネジメントが運用する場合でも、TOPIX連動型の投資信託「トピックスインデックスオープン」の信託報酬は年率0.651%なのに対して、「TOPIX連動型上場投資信託」の信託報酬は年率0.252%と安い。また、アフリカに投資できる代表的な投資信託「野村アフリカ株投資」の信託報酬は年率2.1%。しかし、ETFの「NEXT FUNDS 南アフリカ株式指数・FTSE/JSE 上場投信」なら信託報酬は年率0.9975%。ETFは総じて通常の投資信託より低コストで運用できるのだ。
だが、日本ではまだETFが普及していないため、売買がほとんどされていないETFも多く、注文を出しても希望する価格で買えないこともある。従って、そうしたETFを取引するときには、価格を指定して売買するといった注意が必要となる。また、あまりに売買がされていないETFは上場廃止になることもある(その場合、投資金は戻ってくる)。
コード | ETF名 | 連動する指数 | 信託報酬(年率) |
---|---|---|---|
1306 | TOPIX連動型上場投資信託 | TOPIX | 0.252% |
1314 | 上場インデックスファンドS&P日本新興株100 | S&P日本新興株100指数 | 0.525% |
1322 | 上場インデックスファンド中国A株CSI300 | CSI300指数 | 0.9975% |
1323 | NEXT FUNDS 南アフリカ株式指数・FTSE/JSE 上場投信 | FTSE/JSE Africa Top40指数 | 0.9975% |
1324 | NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信 | RTS指数 | 0.9975% |
1325 | NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信 | ボベスパ指数 | 0.9975% |
1326 | 金価格連動型上場投資信託 | 1グラム当たりの円表示の金価格 | 0.525% |
海外ETFでは、日本の証券取引所に上場していないタイプのETFも売買できる。だが、海外ETFは外国株という扱いになるので、通常の証券口座のほかに、外国証券取引口座を開設しなければならない。
また、取引が外貨ベースで行われるため、取引するときには円を外貨(米国ETFは米ドル、中国ETFは香港ドル)に両替する必要がある。そのため、売買するときには為替手数料が加わる点に気を付けたい。また、証券会社によって、手数料や取り扱い銘柄が大きく異なっている。
そして、税金の手続きも煩雑になる。米国ETFの場合、キャピタルゲインに関しては国内での株式取引と同じで売却益の10%(2009年1月からは20%)。しかし、分配金に関しては、米国でまず10%課税され、さらに日本でも10%(2010年1月からは20%)課税されることになる。
証券会社 | 取扱銘柄数 | 国内取次手数料(米国ETF) | 現地委託手数料(米国ETF) | 為替手数料※(米国ETF) | 国内取次手数料(中国ETF) | 現地委託手数料(中国ETF) | 為替手数料※(中国ETF) |
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野村證券 | 37 | 約定代金75万円未満なら7455円、75万円以上なら最大0.9975% | 約定代金1万ドル以下なら0.5%(最低25ドル)、1万ドルから10万ドルなら0.2%+30ドル、10万ドル以上なら0.1%+130ドル | 50銭 | 米国ETFと同じ | 約定代金の約0.36%(最低100香港ドル) | 15銭 |
楽天証券 | 73 | 1000口まで一律31.5ドル、1000口を超える1口ごとに2.1セント追加 | なし | 25銭 | 約定代金の0.525%(最低手数料525円、手数料上限5250円) | なし | 15銭 |
マネックス証券 | 59 | 1取引当たり25.2ドル | なし | 25銭 | 約定代金の0.2999%(最低73.5香港ドル) | 約定代金の0.111% | 15銭 |
SBI証券 | 31 | 1000口まで一律26.25ドル、1000口を超える1口ごとに2.1セント追加 | なし | 25銭 | 約定代金の0.4095%(最低31.5香港ドル、最大315香港ドル) | なし | 15銭 |
取り扱っている海外ETFの銘柄数は、一番多い楽天証券でも73しかないが、国内ETFと違って活況な銘柄が多く、売買には支障がないことが多い。
コード | ETF名 | 連動する指数 | 信託報酬(年率) | 販売会社 |
---|---|---|---|---|
SPY | SPDRトラストシリーズ1 | S&P500指数 | 0.095% | 野村、大和、日興、楽天、マネックス |
QQQQ | パワーシェアーズ100トラストシリーズ1 | ナスダック100指数 | 0.20% | 野村、大和、日興、SBI、楽天、マネックス |
TIP | iシェアーズリーマンティップスボンド | リーマンブラザーズ物価連動債権指数 | 0.20% | 楽天、マネックス |
GSG | S&P GSCIコモディティインデックストラスト | GSCIコモディティ指数 | 0.75% | 野村、大和、SBI、楽天、マネックス |
多くの海外ETFを扱う楽天証券では、ETFに投資する顧客が2008年初めから8月までで1.6〜1.7倍に増えているという。楽天証券の新井党(かおる)外国株式事業部長によると、「米国のファイナンシャルアドバイザーの7割が『顧客に勧めたい商品』と回答したというアンケート結果があった」という。
ETFでは株価指数だけでなく原油・金価格やREIT指数にまで投資できる。忙しくて個別株は詳しくチェックすることができないがポートフォリオのバランスは自分で決めたい、といったビジネスパーソンにはうってつけの商品だろう。また、多数の金融商品によって構成されるETFは投資信託と同様にインサイダー取引規制の対象外、「この株を買うとインサイダーになるのではないか」と株式取引を敬遠していた人にもちょうどいいだろう。
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