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» 2008年09月11日 15時14分 UPDATE

神尾寿の時事日想・特別編:ビジネスケータイ後進国・日本を目覚めさせるのは誰だ? (1/2)

携帯電話の普及が飽和する中、通信各社の成長を下支えしているのが法人携帯の需要だ。個人向けと違い、ほとんどが通話専用にしか使われていない法人向け携帯の使い方を変えるには、“らくらくホン的”アプローチが必要になってくるのではないだろうか。

[神尾寿,Business Media 誠]
ay_kamio01.jpg ソフトバンクテレコム/ソフトバンクモバイルの社長兼CEO、孫正義氏(Creative Commons) BY: Nobuyuki Hayashi

 2000人の聴衆が、孫正義氏の話に聞き入った。

 9月10日、ソフトバンクグループが法人ユーザー向けの商品・サービス説明会「SoftBank Summit 2008」を都内のホテルで開催した。冒頭の基調講演にはソフトバンクテレコム/ソフトバンクモバイルの社長兼CEOである孫正義氏が登壇し、満席になった会場で熱いプレゼンテーションを繰り広げた。

 今回のイベントは固定通信と携帯電話の両方を扱ったものだが、孫氏のプレゼンテーションはすべて携帯電話サービスについてだった。それだけ見ても、今のソフトバンクグループがいかに携帯電話事業に入れ込んでいるかが分かる。

 法人向けのモバイル市場は、昨年後半からすべてのキャリアで急拡大しており、各社の成長を下支えしている。法人市場全体では、今後1〜2年で「1000万契約規模の成長が見込める」(キャリア幹部)という“ホット”な市場である。各キャリアともに法人部門の大規模な拡大を図り、販売体制を強化。今回の「SoftBank Summit 2008」のようなキャリア主催の法人顧客向けイベントも、各地で開催されている。

ビジネスケータイ後進国、ニッポン!?

 さらに今回の「SoftBank Summit 2008」で象徴的だったのは、孫氏のプレゼンテーションの中で、大半の時間が「iPhone 3Gのビジネス活用」に割かれていたことだ。周知のとおり、AppleのiPhone 3Gはとても洗練されたUIを持つスマートフォンであるが、これまでのイメージは、どちらかといえば“個人ユーザーのエンターテインメント向け”である。しかし、以前のコラムでも書いたように、iPhone 3Gはビジネス用途にも活用できるポテンシャルがある(参照記事)。例えば、オフィス向けのグループウェア/電子メール製品として広く普及している「Microsoft Exchange Server」とダイレクトに接続する機能を持ち、搭載されているブラウザ「Safari」はWebアプリケーションの実行が可能だ。またSDKも公開されているので、企業向けの独自ソフトウェアを開発することもできる。欧米のホワイトカラーの間で普及しているBlackBerry(参照記事)Windows Mobile端末(参照記事)と同等以上のデータサービスが利用できるのだ。

 とはいえ、これら法人向けのモバイルデータサービスは、これまで各キャリアが市場創出に手こずってきた鬼門でもある。最大手のNTTドコモを筆頭に法人顧客のデータ通信需要を喚起しようと様々なソリューションを提案しているが、外資系や大企業の一部でBlackBerryの導入が進んでいることを除けば、「法人向けの携帯電話は、(通話するための)電話としてしか使われていない」(キャリア幹部)のが実情である。当然ながら、これではコンシューマ市場ほどのARPUの伸びは期待できない。

 この状況を熟知している孫氏は、冗談交じりに「BlackBerryが普及している欧米に対して、これだけ(コンシューマ市場の)ケータイの高機能化が進んでいるのに、『ビジネスでケータイを使う』となると日本は完全に後進国。日本のビジネスマンよ、恥ずかしくないのか! 目覚めよ!」と喝破。iPhone 3Gをどのようにビジネス活用するか、またメリットがどれだけあるかについて、自らの体験やケーススタディも含めて、会場に向かって熱く語っていた。

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