低価格ノートPCがPC市場のけん引力に――IDC

» 2008年09月11日 11時03分 公開
[ITmedia]

 経済懸念が続いているにもかかわらず、低価格ノートPC分野は急速に成長しており、今後数年は市場の成長を促進するだろう――米調査会社IDCが9月10日、このような見通しを示した。

 同社は、2008年の世界PC出荷台数を前年比15.7%増の3億1100万台と予測。前回予測の「前年比15.2%増」をわずかに引き上げた。2011年まで2けた成長が続き、2012年は成長率9%超、出荷台数は4億8200万台と見込んでいる。

 予測引き上げの理由は、ノートPCの高成長と、コンシューマー向けPCの堅調な需要にあるという。低価格ノートPC人気で平均価格はさらに下がるが、出荷台数は増えるだろうとIDCはみている。また、ワイヤレスインフラの増強が進められていることや、デジタルライフスタイルの一部としてのノートPCの役割が高まっていることも成長維持に貢献するという。

 このほか予測に影響を与えた要因として、IDCはアジア太平洋地域(日本を除く)におけるPC出荷台数の対前年伸び率が、ここ数年の20%程度から第2四半期に14%弱に低下したことを挙げている。エネルギーコスト高騰、インフレ圧力、四川大地震、北京五輪などが抑制要因となったが、成長率がさらに低下する可能性は低いという。

 一方、西欧では出荷台数伸び率が前年の12%から23%へと上昇し、アジアの成長鈍化を補った。ASUSTeKのEee PCなどの低価格ノートPCの人気で、西欧でのコンシューマー向けノートPCは2007年第2四半期と比べ60%増加、今後も成長が続く見込み。

 「経済的圧力の高まりにもかかわらず、世界中でノートPCへの移行が急速に進んでいる」とIDCは言う。また、デスクトップPCだけでなくノートPCでもフォームファクターが多様化していることで、ユーザーは複数のPCを購入することを正当化できるとも述べている。

世界PC出荷台数の2007年実績および2008〜2012年予測(単位:百万台。かっこ内は対前年成長率)
2007 2008 2009 2010 2011 2012
デスクトップ&x86サーバ 161.1(5.1) 163.2(1.3) 166.6(2.1) 173.7(4.2) 178.7(2.9) 184.3(3.1)
ノートPC 108.0(34.0) 148.2(37.2) 187.4(26.4) 227.8(21.6) 263.1(15.5) 298.3(13.4)
合計 269.1(15.1) 311.4(15.7) 354.0(13.7) 401.5(13.4) 441.8(10.0) 482.6(9.2)
(資料:IDC)

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