第2話 頑張りすぎて空回り?Webビジネス小説「中村誠32歳・これがメーカー社員の生きる道」(3/4 ページ)

» 2008年09月03日 04時30分 公開
[眞木和俊,Business Media 誠]

 製造部の仲居さんは普段水戸にいるから、メールで連絡を入れておこうっと。メンバーへのあいさつの後は、キックオフミーティングのアジェンダを作らないといけないよな。とりあえず日程と場所は決まっているけど誰が何をするのかは未定だったな。あ、そうだ。メンバー以外にも誰かに声をかけてみようかな。

 そこでふと、社長の小石川登の顔とインタビュー記事「断固たる決意(コミットメント)が人を動かす」が頭に浮かんだ。キックオフミーティングの時に、社長の一言があったら、きっとインパクトが大きいに違いない。

 でも僕から小石川社長にアポ入れなんてできるのかなあ? やはり東山部長から頼んでもらうのがスジってもんだろうか。ちょっと無謀だけど、とりあえず部長に相談してみよう。

 誠は製造部長の東山に電話をかけることにした。

 部長、プロジェクトキックオフにあたって1つお願いがあるのですが。

東山 私で力になれることだったら、遠慮なく言ってみなさい。

 実は、当日、小石川社長においでいただけないかと考えているんです。

東山 う〜ん、そうだな。どうして社長に出て来てほしいんだい?

 それは、会社が本気なんだとメンバーに分かってもらいたいからです。

東山 そうか……よし分かった。ここでは約束できないが、君の熱意を酌んで、私から社長に出席できないか当たってみよう。

 ありがとうございます!

 誠は思わず、受話器を握ったままおじぎをしてしまった。

 やったー、ダメもとでも勇気を出して頼んでみることが大事だよね。でもアジェンダ上は社長が来なくても大丈夫なようにしておこうっと。それ以外に当日にやらなきゃなんないことは……、準備だけでも大変だな、ホント。

ミーティングの前には、必ずアジェンダを作成すべし!

 ミーティングなどの段取りでは、よく「準備8割、実施2割」と言われます。今回のミーティング準備の中で「アジェンダ」という言葉が登場しますが、これは当日の議事進行表のことで、会議運営の基本となる台本に相当します。

 アジェンダを事前に考えておくことで、準備の抜け漏れを防ぐだけではなく、当日落ち着いて議事を進めていくための気持ちのよりどころにもなります。ミーティングをどう進めていいか分からない、どうしても大人数を仕切るのが苦手という方は、こうした準備をしておくことで、安心できるのではないでしょうか?


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