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» 2008年08月29日 19時25分 UPDATE

誠倶楽部II:現役ファンドマネージャーが教える“株式市場で生き残るヒント” (1/3)

多くの人からお金を預かり、株などで運用するファンドマネージャー。低迷する株式市場で、彼らはどう相場と向き合っているのだろうか? 日興アセットマネジメントで年金運用を担当しているファンドマネージャーから話を聞いた。

[分散投資特集取材班,Business Media 誠]

 2007年の夏、誠編集部では自分たちで作ったルールをもとに、株式のバーチャルトレードに挑んだ。その様子をリアルタイムでお伝えした連載が「週1回リアルタイム連載 誠倶楽部」だ。2008年の夏は1歩前進(?)、日興アセットマネジメントが行っているバーチャルトレードの大会「投信王」に参戦し、多くの参加者たちと競い合いながら投資の腕を磨いていくことにしている。

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 誠編集部がさまざまな投資にチャレンジする「誠倶楽部」企画。今夏は投資信託のファンドマネージャーを疑似体験できる「投信王」というイベントに参加しているが、どうも運用成績が思わしくない。そんな中、現役のファンドマネージャーが学生を対象に講義を行うという話を聞きつけて、こっそり潜入することにした。

 誠倶楽部が参加している「投信王 夏の陣」では7月1日から9月30日までの運用成績を競うというもの。しかし、2カ月近く運用してきたが、誠倶楽部のパフォーマンスははかばかしくない。そんな時に耳にしたのが、投信王に参加する大学生を対象にした「夏期講習プログラム」。現役ファンドマネージャーの話が聞けるまたとない機会ということで、誠倶楽部は大学生にこっそり紛れこみ講習を受けることにしたのだ。

教科書にないことが起こっている

yd_toyoshima.jpg ファンドマネージャーの豊島清一氏

 「ファンドマネージャーがTOPIXに勝つことが難しくなっている」

 8月26日、東京ミッドタウンの一室。日興アセットマネジメントの豊島清一株式運用部長は、大学生たちを前にそう話を切り出した。

 ファンドマネージャーとは投資信託や年金など、まとまったお金をどの金融商品(株式や債券など)に投資するかを決める人のこと。豊島氏の場合は、指数(TOPIXなど)に連動することを目的としたインデックス投信の運用とは違って、指数を上回る結果を残さなければならない立場にある。

 「年金を運用するファンドマネージャーで、2008年4月から7月までの運用成績がTOPIXを上回ったのは全体の50%。非常に難しい相場だった7月だけをみるとTOPIXに勝てたのはわずか13%に過ぎない」と豊島氏はファンドマネージャーたちが苦戦している現状を示した。7月は、多くのファンドマネージャーが採用している割安株(低PER※銘柄)への投資戦略が機能しにくかったという。

PER(株価収益率)……ある会社が利益に対して、株価がどのぐらいの水準にあるかを示す指標。株価を1株当たりの利益で割ることで求められ、低いほど割安。

 株式運用の達人であるはずのファンドマネージャーたちが、なぜこれほどまでに苦戦しているのだろうか? 豊島氏によると、その理由は今の日本でこれまでに経験のないことが起こっているからだという。

 一例として豊島氏が挙げたのが、景気循環サイクルの変化だ。「これまでは4年サイクルの在庫循環(キチンサイクル)で景気の流れを説明できたため、その流れに合わせて運用すれば良かった。しかし、ITの進化などで企業の在庫コントロール能力が向上したため、そのサイクルに変化が生じた」と説明した。

 また、日本株のバリュエーション(評価)が低下していることも、ファンドマネージャーたちを悩ませているという。豊島氏が日興証券(現日興コーディアル証券)に入社した1984年の日本株のPERは40倍、バブルの頃は60〜100倍だった。それは、企業同士の株の持ち合いで市場で流通する株が少なかったことや、日本の潜在成長率が高いとみなされていたことが背景にあったという。しかし1990年代に入ると、日本が先進国市場に分類されるようになったこともあってPERは低下していき、今は15.5倍ほどにまで下がっている。PERが低下したことについて「日本が低成長になることを見抜いていたという点で、ある意味マーケットは正しかったということだ」と話した。

yd_kougi.jpg 夏期講習に参加した大学生
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