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» 2008年08月27日 08時00分 UPDATE

それゆけ!カナモリさん:もう一度観たい『崖の上のポニョ』――成功のヒミツをちょっぴり解いてみた (2/3)

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8月19日 定番も「売れ続ける工夫」で生き残れ!

 「定番品」とは黙っていても売れ続ける商品ではない。変化し続けることで売れるようにする商品である。黙っていれば、生活防衛のため、消費者は「買わなくてもいい」と考えてしまう時代だ。

 消費者の本格的な生活防衛が始まっている。日本経済新聞8月19日付け朝刊の記事「日用品、節約志向広がる、基礎的支出、実質3.9%減、家計調査6月、4カ月連続減。」によると、物価の上昇が響き、消費者が食品や日用品などの節約志向を強めているといい、通常の景気低迷期とは違って、生活必需品を中心に切り詰めていることが昨今の特徴のようである。

 一生活者の視点で考えれば無理からぬことなのだが、企業の視点で考えれば、景気変動にさらされない安定的な売上げを上げられるはずの、必需品や定番品までもが売れなくなるという危機的状況なのだ。

 そうした背景の中、いわゆる「定番品」が消費者の潜在的なニーズに対応し、リニューアルで乗り切っていこうという動きが見える。

 例えば、「メタボリック・シンドローム対策」は数多くの成人人口を巻き込んだ、昨今の関心事だ。雪印乳業では、「メタボリック対策として実施していること」という調査を行い、「食事の量」「脂肪分の少ない食品を意識的に摂取」と、食事での対策が上位を占める結果をつかんだ。そして同社は定番商品である「6Pチーズ」の新製品を発売した。

 「脂肪分を20%カットした6Pチーズ 『 雪印 6Pチーズ 脂肪分ひかえめ 』」。平べったい丸い紙のパッケージに、アルミに包まれた6つのチーズが入った、あの商品である。よもやあのような定番に、工夫の余地はあるまいと思っていたが、「メタボ対策」という直球勝負で挑んできたわけだ。筆者を含めてメタボ対策の必要性を感じている層にとっては、大きな選択肢となる。

 一方、もっと潜在的なニーズに対応した商品も登場する。「9割の顧客のイライラを解消する」というものだ。

 ミツカンの行った調査では、納豆のパックのフィルムやカラシなどの小袋が開けづらかったり、開ける際に手が汚れたり、開けた後の始末に困るなどでイライラを経験する人は9割に上るという。そこで、同社は調味料メーカーとしての技術を応用し、タレにとろみをつけ、つまんで混ぜられるようにするという、「コロンブスの卵」的な解決策を見いだした。

 同社のリリースによれば、納豆の定番シリーズである「金のつぶ」の2製品にまず投入するという。

yd_nattou.jpg (出典:ミツカンの公式Webサイト)

 フィルムをはがしたり、タレを空ける際のイライラなど、普通に考えれば「しかたがないこと」と思ってしまうことだが、「便利になりました」と提案されれば、「試してみようか」と、購入の手を伸ばす理由になる。

 生活防衛とは、消費者自身が知らず知らずのうちに「買わない理由」を考えることになることだ。「メタボに悪いから」「朝食に面倒なものは食べたくないから」……などなど。

まずは、そうした「購入棄却理由」を払拭することが肝要だ。その上でさらに、「身体によさそう」とか「便利そう」とか、購入理由(KBF=Key Buying Factor)に転換していくことが重要なのだ。

 繰り返すが、定番商品といえども、黙っていても売れ続ける時代ではないのだから。

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