インタビュー
» 2008年08月22日 23時48分 UPDATE

あなたの隣のプロフェッショナル:食べるプロ「ラーメン評論家」に必要な5つの資質――大崎裕史氏(前編) (3/3)

[嶋田淑之,Business Media 誠]
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大崎氏直伝「いいラーメン店の見分けかた」

 テレビに出演しているラーメン評論家を見ていると、「個々の原材料についての要素分解的な解説が多くて、全体的なイメージが伝わってこない」と筆者は感じることが多い。大崎氏はラーメン評論家として、一般のユーザーに対しては、どんな情報を伝えることを心がけているのだろうか? 

「私の場合は、専門情報を細かくレポートするというよりは、ローアングルなユーザー視点に立って、店内の様子、換気、接客、味など、入店から退店までに感じる全体の雰囲気を分かりやすく伝えるようにしたいと思っています」。

 では、筆者のような一般ユーザーが、予備知識なくラーメン店に入る場合、どんな点に着目してその店に入るべきか否かを判断すれば良いのだろうか。

 「まず第1に、お店を出てくる人の顔つきを見てください。幸せそうな表情や和やかな表情をしているか、それとも、無表情あるいは仏頂面をしているか。第2に、換気扇から出てくるにおいが良いか悪いかも大事です。使う食材によって随分違うので一概には言えませんが、悪臭と感じるところよりは、良い香りと感じるところがよいですね。第3は、外観の清潔感です。のれんやドア周りがきれいかどうかを見て、不潔なところは避けた方がいいでしょうね」

ラーメン評論家がやってきた!――その時ラーメン店主の行動は?

 世の中にはびこる都市伝説の1つに、「グルメ評論家が来店したら、店主は分厚い札束を渡す」というのがある。「お金を渡せばその店を礼賛するような記事を書いてもらえるが、それをしないと、誹謗中傷のような記事を書かれて、店が潰れてしまう」――そういった“うわさ”は、まことしやかに語られているが、実際にそういうものなのだろうか。

 「いや、ラーメン業界では、そんなもの全くあり得ません」と大崎氏は、きっぱり否定する。「ほとんどの店が小規模な個人事業主なんですから、そもそもそんな大金など持っていません。またそこまでのお金を用意できる店だったら、既にそれだけ成功して、しっかりと顧客を獲得しているわけです。評論家にお金を握らせる必要なんかないでしょう?」

ay_ramen03.jpg 「東京・湯島でどこかおいしいラーメン屋さんを教えてください」とお願いしたところ、指定されたのは担々麺専門店の「阿吽(あうん)」。大崎氏のチョイスは夏季限定の冷やし汁なし担担麺「棒々鶏涼麺(950円)」で、あっという間に完食していた

 インターネットの影響力に関しても、大崎氏は経験に基づき持論を展開する。昨今、個人のラーメンブログは数え切れないほど増えているが、「個人ブログなどで、仮に特定のラーメン店をたたいたとしても、それが原因で店の経営が傾くようなことはないですよ。そこまで直接的な影響力はないと見ています。でも逆に、良く書くことでうわさが広がり、口コミでお客が増えていくということはあります。それをテレビや雑誌の作り手が目にして取材に行くなど、プラスの影響力の方が大きいと私は思います」という。

 ラーメン好きはもちろん、ラーメン店の店主の間でも、大崎氏は超が付く有名人だ。大崎氏の訪問を受けたラーメン店は、どんな反応を示すのだろうか?

 「それは、『ああ、来た〜っ!』って顔をされますよ(苦笑)。あと、頼んでいないのに『味タマゴ』が入っていたりとかね」

 面白いエピソードを披露してくれたので、ここで紹介しよう。「ある店で、どうも(ラーメンが)おいしくないので、不審に思って店主に『今日はどうしたんですか?』って聞いたんです。そうしたら、その店主曰く『き、き、緊張のあまり、タレを入れるのを忘れてしまいました……』って」

 やはり、全国的に有名なラーメン評論家が来店したとなれば、店主も緊張するし、それぞれのやり方で気も遣う、ということなのだろう。

 さて、ラーメン評論家として、ラーメン好きはもとより、全国のラーメン店主たちからも注目される大崎氏であるが、果たしてこれまでどういう人生を歩み、そしてどういう経緯で、現在の地位を確立したのだろうか? インタビュー後編では、そこを見ていきたい。

 →時間と体力の許す限り、1軒でも多くの店に行きたい――ラーメン評論家・大崎裕史氏(後編)

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