インタビュー
» 2008年08月22日 23時48分 UPDATE

あなたの隣のプロフェッショナル:食べるプロ「ラーメン評論家」に必要な5つの資質――大崎裕史氏(前編) (1/3)

ラーメンが好き、という人は多い。食べ歩きブログを書いているという読者もいるかもしれない。しかし、ラーメンマニアとプロの“ラーメン評論家”との間には、越えがたい壁がある。これまで食べたラーメンの数1万6000杯以上、「日本一ラーメンを食べた男」に話を聞く。

[嶋田淑之,Business Media 誠]

「あなたの隣のプロフェッショナル」とは?:

人生の多くの時間を、私たちは“仕事”に費やしています。でも、自分と異なる業界で働く人がどんな仕事をしているかは意外と知らないもの。「あなたの隣のプロフェッショナル」では、さまざまな仕事を取り上げ、その道で活躍中のプロフェッショナルに登場していただきます。日々、現場でどのように発想し、どう仕事に取り組んでいるのか。どんな試行錯誤を経て今に至っているのか――“プロの仕事”にロングインタビューで迫ります。インタビュアーは、「あの人に逢いたい!」に続き、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏です。本連載では、知っているようで知らない、さまざまな仕事を取り上げていきます。


1万6000杯のラーメンを食べた男

ay_ramen06.jpg ラーメン評論家の大崎裕史氏

 自称、「日本一ラーメンを食べた男」がいる。少なく見積もっても8000軒以上、1万6000杯以上のラーメンを食べたという。1万6000杯の内訳は、1966〜1994年に6000杯以上、1995〜2008年(7月まで)に1万杯以上だという。

 その人の名は、株式会社ラーメンデータバンク代表取締役、大崎裕史氏(49歳)。いわゆる「ラーメン評論家」の草分け的存在の1人であり、日本のラーメンブームの火付け役の1人でもある。

 写真を見て「あ〜、あの人!」と分かる人も多いだろう。大崎氏は過去10年以上にわたり、民放各局のラーメン番組や、情報番組のラーメン特集で審査員やリポーターとして活躍してきた実績がある。

 だが“食の評論家”、しかもラーメン専門の評論家の世界は厳しい。テレビや雑誌で「ラーメン評論家」を名乗り、それなりに名が売れていたとしても、本当にラーメン評論だけで食べてゆける人は極めてまれと言われる。そんな厳しい世界で、確固とした立場を築いている大崎氏。ラーメン評論家としてどのような日々を送り、どんな仕事をしているのだろうか?

 →時間と体力の許す限り、1軒でも多くの店に行きたい――ラーメン評論家・大崎裕史氏(後編)

市場規模、約7000億円――ラーメン業界の特徴とは?

 大崎氏に「どんな仕事をしているのですか?」と尋ねると、「ラーメンに関わる、ありとあらゆることですよ。本当にいろんなことをしているので、ひと言で『こういう仕事』と答えるのが難しいんです」と苦笑する。

 カレーと並び、日本人の国民食と言われるラーメン。通常、ラーメン業界の市場規模は、約7000億円と言われることが多い(算定基準の設定次第で、数値は大きく変わる)。ハンバーガー業界の約6400億円、回転寿司業界の約5000億円と比べても多い。

 また、市場のほとんどを大型チェーンが占めるハンバーガー業界と異なり、ラーメン業界は約1万6000軒のうち、ほぼ80%が小規模な個人営業で成り立っているのが特徴である。

 大崎氏は、現在、東京都目黒区で上記の会社を経営している。スタッフは6人。彼はインターネットを活用して全国のラーメン情報を提供してきたパイオニアの1人であり、現在は、2つの有力サイトを運営している。

 1つは「東京のラーメン屋さん」(通称「とらさん」)。日本一のアクセス数を誇るラーメンサイトで、「ラーメン好き」はもちろん、ラーメン店主たちからも高い支持を得ている。もう1つは「ラーメンバンク」。これは、日本全国の約1万5000軒以上のラーメン店の情報を登録したデータベースで、携帯向け公式サイトとして運営している。

ay_ramen01.jpgay_ramen02.jpg 東京のラーメン屋さん(通称「とらさん」、左)、ラーメンバンク(右)

 こうしたサイトの運営を通じて、一般ユーザーへの質の高い情報提供と、小規模個人営業の多い全国のラーメン店の支援とを目指している。

 さらには、こういった活動をベースに、企業の商品開発や店舗開発、イベント企画などに対するコンサルテーションやプロデュース、さらには、テレビや雑誌のラーメン関連企画への監修・出演といった、「ラーメン評論家」としての業務を日々こなしているのである。「毎朝7時半に起床し、8時半に出社していますが、とにかく1カ月の内、少なくとも25日以上は、午前1時とか2時に退社する生活で、体力的にはかなりキツイですね」と苦笑する。

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