ここ1カ月、原油などの資源価格は下落傾向にあるが、依然として空前の高値圏にあることには変わりない。体力の乏しい中小企業に資源高が与える影響は大きく、6月の業況DI(小規模企業動向調査)※は−69.2ポイントと調査開始以来最悪だった2001年12月の−70.8ポイントに続く状況となっている。
全国商工会連合会の調査によると、「2008年4〜6月期におけるコスト上昇幅(2007年4〜6月期比)」は、「約1〜3割増加」が60.8%、「約4〜7割増加」が33.2%、「約8割以上増加」が4.0%。「変化なし」と回答した企業はわずか2.0%に過ぎなかった。業種別にみると、コストが4割以上上昇している企業が、運送業では61.4%、クリーニング業では51.4%、ガソリンスタンドでは44.8%に達している。
コスト上昇分は価格に転嫁できるのだろうか。「コスト上昇に対する価格転嫁の状況」を尋ねたところ、「できている(少しできている+ある程度できている+できている)」は41.0%、「交渉中または検討中」が14.0%、「困難」が45.0%だった。
個別では、「鉄製品、生石灰については価格変動が激しく見積書すら出せない状況」(青森県、建設業)、「大豆価格高騰で地元スーパーへお願いして値上げしたが、消費者からのしっぺ返しを食らい返品の山となった」(山形県、豆腐製造業)、「宿泊客も自己負担になる飲食代を削るような状態で、ほとんど素泊まりの客ばかりになっている」(茨城県、旅館・ホテル業)などの意見が寄せられた。
現在の資源高は中国などの新興国の需要増が原因で、長期的に続く傾向だとも言われている。「資源高が長期化した場合の経営への影響」を尋ねると、「転廃業を検討せざるを得ない(現時点で廃業を検討中+現時点で転業を検討中+今後転廃業を検討せざるを得ない)」と回答した企業は46.6%。しかし、「廃業したくても、個人保証を入れた借入金の返済があるため廃業できない」(新潟県、運送業)という声もあった。
こうした状況を受けて、全国商工会連合会では税制面や金融面での支援(参照リンク、PDF)を政府に要望している。
経営指導員による聞き取り調査で、対象は全国の商工会員1604企業。調査期間は7月8日から14日。
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