コラム
» 2008年08月11日 18時00分 UPDATE

人を紹介すればお金が……「マルチ商法型出資勧誘」ってナニ?

[土肥義則,Business Media 誠]

 「出資による配当のほかに、人を紹介すれば紹介料が受け取れます」――。このような甘い言葉で勧誘し、勧誘された人は同じようなセリフでほかの人を誘っていく。ここ数年、このような手口で勧誘者を増やしていく「マルチ商法型出資勧誘」の被害者が増えているのだ。

 勧誘をしてくるのは家族や友人といった親しい人からの“儲け話”が多いことが、このマルチ商法型出資勧誘の特徴。紹介料は契約金額の3〜10%ほどで、契約した人は契約金額の合計が一定以上になれば、さらにボーナスが支給されることもあるようだ。

消費者に返金される事例は少ない

 このマルチ商法型出資勧誘には、具体的にどのような被害事例があるのだろうか。国民生活センターによると「米国の投資会社に1000ドル(約11万円)投資すれば、1週間で50ドル(約5500円)のボーナスが40週もらえ、誰かを紹介すれば紹介料がもらえる」と友人などから勧められるという。資料には「確定利回りで40週間提供する」「過去実績7〜20倍」などと書いてあり、日本にある代行会社の口座にお金を振り込み、ボーナスの受け取りはネットを通じて米国の投資会社に請求しなければならない。しかし実際に入金されるケースは少なく、業者との連絡も取れないことが多いそうだ。

 「出資関連のトラブルは配当金の支払いが滞ったり、業者が逮捕されたり、倒産した結果、初めて被害が表面化する傾向がある。しかし、このような状況になると業者にはほとんど資金が残っておらず、消費者に返金される事例は少ない」(国民生活センター)。

被害者が加害者になるかもしれない

 会員を勧誘して商品を販売すればお金がもらえる「マルチ商法」。その被害者は20代が最も多く29%にも達しているが、マルチ商法型出資勧誘の場合は60代が28%、50代が23%と中高年層が目立っている。またマルチ商法全体に支払ったお金の平均額(2007年度)は157万円だが、マルチ商法型出資勧誘は586万円と被害額は大きい。

yd_multi.jpg (出典:国民生活センター)

 国民生活センターへの相談件数(出資関連)を見ると、2003年度から2008年6月末までで1万67件。そのうちマルチ商法型出資勧誘の相談件数の割合は増加傾向にあり、2007年度の相談件数3635件のうち約63%(2296件)にも及んでいる。

 ただ被害に遭った人も実は加害者の立場になるかもしれないので注意が必要なのだ。「マルチ商法型出資勧誘で勧誘を行った人は、金融商品取引法※の登録が必要と考えられる。そのため勧誘者が無登録で勧誘を行えば、刑事罰の対象になるかもしれない」(国民生活センター)。甘い話に踊らされるとお金だけではなく、前科が付くかもしれないので注意が必要のようだ。

※金融商品取引法:他人から金銭などの出資・拠出を集め、その事業から生じる収益などを出資者に分配する場合、内閣総理大臣の登録が必要となる。無登録で販売勧誘を行えば、刑事罰の対象となる。

国民生活センターから消費者へのアドバイス

マルチ商法型出資勧誘には絶対に耳を貸さない

マルチ商法型出資勧誘は金融商品取引法に違反している可能性が高いため、契約をするべきではない。

家族や友人など、親しい人からの勧めであってもキッパリ断る

家族や友人などの誘いに応じて契約し、ほかの人に出資の勧誘をしてしまうと自らも刑事罰の対象となる恐れがある。たとえ親しい人からであっても、話をうのみにしたり不用意に信頼したりせず、断りづらくてもマルチ商法型出資勧誘は勇気を持ってキッパリ断ること。

消費生活センターに相談する

家族や友人などからマルチ商法型出資勧誘を受けたり、契約をした場合は早めに最寄りの消費生活センターに相談すること。


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