2008年度版「おサイフケータイ最新事情」――(1)おサイフケータイのメリットとは?(3/3 ページ)

» 2008年08月08日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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(3)本人認証が容易

 その携帯電話を持っている人が、本人だと容易に認証できること――この特徴を利用した、おサイフケータイの新しい使い方も少しずつ普及しつつある。

 例えば、2007年の東京モーターショウや東京ゲームショウは、おサイフケータイを利用したオンラインチケットシステムを導入していた(参照記事)。利用者は、おサイフケータイでチケットの予約と決済を行い、携帯のFeliCaチップにチケット情報をダウンロードしてチケットを受け取る。当日は会場受付の専用端末におサイフケータイをかざすだけで入場できる、という仕組みだ。

 従来、チケットをオンライン購入した場合には、発券するためにチケットセンターやコンビニに行き、端末に予約番号や暗証番号など、いくつもの数字を入れてチケットを事前に発券する方法が一般的だった。しかしアプリとFeliCaチップが連携することにより、面倒な番号入力をしなくても、携帯を“かざすだけ”でそれが本人だと分かり、チケットとして利用できる。このような本人認証のためのオペレーションが非常に楽になる。

(4)よりセキュアに利用できる

 携帯電話を落としたりなくしたりした場合は、キャリアのオペレータに電話をかけたり、端末の遠隔ロック機能を利用したりすることにより、(FeliCaを含めた)携帯電話の機能にロックをかけ、第三者に使えないようにできる。FeliCaチップそのものにロックをかけ、無記名のSuicaカードやEdyカードでは落としてしまったら泣き寝入り、という可能性が高いが、携帯電話なら自分で不正使用を防止できる。

 また、FeliCaチップそのものにロックをかけておき、暗証番号や指紋などでロックを解除しないとFeliCa関連機能を利用できないように設定することができる機種もある。こういった機能を利用することにより、よりセキュアに使えるのは、おサイフケータイならではのメリットといえるだろう。

(5)クーポンやチラシを“受け取る”という利用方法

 カードタイプFeliCaにはない、おサイフケータイならではの機能として、電子クーポンや電子チラシ、店舗情報といった情報を、端末におサイフケータイをかざすだけで受け取れるという使い方がある。これはモバイルFeliCaの「三者間通信」機能を利用したものだ※。

※三者間通信とは、リーダー/ライターからデータをFeliCaチップに送り、そこから携帯に働きかける(アプリを起動するなど)機能。三者とは、FeliCaチップ、携帯端末、リーダー/ライターを指す。

 3キャリア共通で利用できる電子クーポンとしては、ぐるなびの「ぐるなびタッチ」を導入する飲食店が増えつつある(参照記事)。このほか、キャリア別のクーポン・チケット機能としては、ドコモでは「トルカ」、auでは「auケータイクーポン」と呼ばれるものが代表例で、なお、ソフトバンクも同様のサービスを提供する意向を明らかにしているが、ドコモやauのような、はっきりしたサービス名称は告知されていない。

 クーポンが携帯に書き込まれるだけでは、従来の「画面を見せる」クーポンと大差がないが、FeliCa決済と組み合わせたり、会員証機能と組み合わせることによって、新しい使い方が可能になる。例えば日本マクドナルドがNTTドコモと進めているおサイフケータイ用クーポン「かざすクーポン」では、お客の来店頻度に応じてクーポンの割引率が変わるといったサービスを行っている(参照記事)

「ぐるなびタッチ」は、店舗側もユーザーも簡単に利用でき、準備が不要な点がメリット(左)

 以上、カードにはできない、おサイフケータイならではの使い方についてまとめた。次回は、新しいモバイルFeliCaチップの特性と、おサイフケータイの問題点について考える。

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