クルマ通勤はもう古い!?  男性向けハイテク自転車最新事情神尾寿の時事日想・特別編(1/2 ページ)

» 2008年08月01日 15時22分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 ひと頃より原油価格は下落したものの、国内のガソリン価格は8月も上昇する見込みだ。クルマの利用者には厳しい状況が続いている。特に通勤など“生活の足”として使う人にとって、ガソリン高の負担は懐にズシンと響いていることだろう。

 そのような中、見直されているのが「自転車」だ。特に都市生活者や通勤利用をターゲットにした、“男性向け”の電動アシスト付きハイテク自転車が登場。若年層や都市生活者を中心とする「クルマ離れ」の風潮を追い風に、新規市場を創出しようとしている。

 そこで今日の時事日想は特別編として、クルマ離れの一方で注目される電動アシスト付き自転車の最新市場についてレポートしたい。

スポーティかつハイテクな男性向けPAS

 7月30日、ヤマハ発動機が電動ハイブリッド自転車の新モデル「PAS Brace(パス ブレイス)」を発表した。メーカー希望小売価格は12万5800円で、発売は8月8日から。

 周知のとおり、ヤマハ発動機は電動アシスト付き自転車の草分け。1993年に世界初となる電動アシスト付き自転車「PAS」を発売している。今回のPAS Braceは、「もっと男性向けデザインを」「もっと軽快にかっこよく走りたい」という市場の声を受けて、開発されたという。スポーティ&ハイパフォーマンスが身上のモデルである。

ヤマハ発動機のPAS Brace(パス ブレイス)

 そのため、PAS Braceのハイテクぶりはすさまじい。そのコアとなるのが、新たに開発された「S.P.E.C.8 (スペック8 : Shift Position Electric Control)」と呼ばれる全域最適型変速機構だ。これは8段階の変速ギアの状況と走行速度をセンサーが検知し、発進・加速・巡航など走行時の全域に応じて最適な電動アシストを行うというもの。各ギアポジションごとに最適なアシストを行い、滑らかでスポーティな走行感覚を実現している。また細かな部分だが、S.P.E.C.8は内装8段階変速であるため、“足を止めたまま変速ができる”のだ。これは信号などでストップ&ゴーが多い街中の走行に適しているだろう。

 さらに、このハイテク機構を受け止める車体側も、最新のテクノロジーがふんだんに使われている。

 ボディはダイヤモンド型の高剛性フレームを採用し、高い走行性能を全体で支え、そのシンプルなデザインはスポーティさの演出にもなっている。高級モデルにふさわしく、塗装の質にもこだわったという。

 ブレーキは制動力の高さで定評のある「Vブレーキ」を採用。これは1990年代の後半からマウンテンバイクなど高機能型自転車用に普及したブレーキ機構であり、PAS Braceでは大型パワーモジュレーターの採用で高い制動力と操作性の向上を実現した。このほかにも、広範囲を広く照らし出すホワイトLEDライトを搭載するなど、夜間の走行も多い通勤利用を想定した装備になっている。

 気になるバッテリー持続時間は、標準モードで39キロメートル、パワーモードで23キロメートル。さらにコンピューター制御で消費電力を押さえるオートエコモードプラスを使用すると、標準モードで61キロメートル、パワーモードで40キロメートルまで走行距離は伸びる。

「S.P.E.C.8(Shift Position Electric Control×内装8段変速)」を搭載(左)、メインスイッチ:電源のオンオフやアシストのコントロールの切り替えができる(中央)、Vブレーキ&セミスリックタイヤ(右、出典:ヤマハ発動機)

 ヤマハの「PASシリーズ」といえば、電動アシスト付き自転車の代名詞である一方で、主婦や女性が買い物などで使うというイメージが強かった。いわば、“ママチャリ”の印象である。しかし、今回のPAS Braceはその先入観を覆すに十分な「クールな自転車」になっており、そのハイテクぶりも含めて、男性向けのモデルになっている。

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