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» 2008年07月28日 10時00分 UPDATE

分散投資特集:分散投資の強みとは? 探し続ける理想のポートフォリオ (1/2)

「株価が上がらないので損ばかり」といった人は、自分の金融資産を見直した方がいいかもしれない。もし株式ばかりの運用であれば、それはリスクの取り過ぎ。長く投資を続けたい、リスクを軽減したい、という人は分散投資を考えてみてはどうだろうか?

[土肥義則,Business Media 誠]

 個人で株を売買する個人株主。日本には何人ぐらい個人株主がいるのか、ご存じだろうか。東京証券取引所によると、2006年度で約3928万人、11年連続で過去最高を更新している。しかし多くの人が資産を殖やそうと投資を始めるが、失敗するケースが多いようだ。その原因はどこにあるのだろうか? 

 マネックス・ユニバーシティの内藤忍氏は、個人投資家が資産を殖やせない理由をこう分析する。「個人投資家の運用の中心は日本株。このような日本株に偏った運用は、リスクを取り過ぎている状態だ」という。例えば日経平均株価の推移を見ると、1年間で40%以上もマイナスになったことがある。また1989年12月の史上最高値とバブル崩壊後2003年4月の最安値とを比べると、80%ほど下落している。

yd_nikkei.jpg 日経平均株価(月末値)の推移(出典:ソニー銀行)

 「過去38年間で見ると、日本の株式市場は年平均で10.4%のリターン。しかし多くの人は日本株だけに投資をしているため、株価が下落してしまうと大きなマイナスを出す。そして結果的に投資を止めてしまう」(内藤氏)と指摘している。

 また経済評論家の勝間和代氏は「将来のことは誰にも分からない。だから分散投資をする必要がある」ことを強調する。勝間氏が実践しているのは「資産四分法」だ。4つの投資信託――TOPIX(東証株価指数)または日経平均など日本株式のインデックスファンド、日本債券のインデックスファンド、海外株式のインデックスファンド、海外債券へのインデックスファンドに、それぞれ毎月同額を投資すれば、リスクが小さくなるという理屈だ。

yd_katuma.jpg 4つのインデックスファンドへの分散投資を勧める勝間和代氏

 では1銘柄に全資産を投資するといった運用は、避けた方がいいのだろうか。特に相場が良いときには「集中投資の方が儲かる」といった声をしばしば聞く。確かにその通りかもしれないが、果たしてそれで資産を殖やし続けることはできるのだろうか。株式……しかも1銘柄だけで運用していれば、収益のブレは大きい。なので中長期に渡って、資産を殖やすのは至難のワザともいえるだろう。つまり投資というのは「資産を殖やす」ということだけではなく、分散投資によって「資産を守る」ということも大切になってくるのだ。

 7月9日に開催されたソニーバンク資産運用セミナーで、ファイナンシャルプランナーの目黒政明氏は分散投資の重要性について語った。その中で分散投資のメリットや考え方について、3つの点を挙げている。(1)値動きの異なるものを組み合わせて運用すると、一方の値下がりは他方の値上がりでカバーすることが期待でき、資産全体として収益のブレを小さくして、安定的に資産を殖やすことが可能となる。(2)安定的に高いリターンを得るためには、ある資産の中における銘柄分散だけではなく、タイプの異なる資産への分散=アセット・アロケーション(資産配分)をよく考慮する必要がある。(3)分散投資を考えるにあたっては、値動きの異なる相関関係が低い資産を組み合わせることが大事である。値動きが同方向のものを組み合わせてもリスクは軽減されない――としている。

積立投資の魅力はリスクが小さいこと

 1つの銘柄だけ保有していると、株式投資の経験がある人は、株価が上昇すればソワソワし、株価が下落すると「どうしよう」と不安になり、仕事が手につかなくなる。あの感覚をご存じだろう。しかし分散投資の場合、こういった“運用のストレス”はかなり軽減されると目黒氏は話す。「集中投資と違って分散投資の収益率は平均的なものとなり、短期的に殖やすことはできない。しかし忙しい生活を送っていれば、こまめに株価チャートなどを見ることはできない。なので仕事をしている人にとって、分散投資は向いている」

 実際に分散投資を始めるにあたっては、まず自分はどこまで損失に耐えることができるのか、ということを把握する必要があるだろう。そこで考慮しなければならないのは年齢や収入、家族構成、資産運用の目的などだ。そして投資金額(割合)をコントロールすることが不可欠となる。

 投資金額の上限とは、いくらくらいなのだろうか。「今後5〜6年以内に支出が見込まれる金額を把握し、安全確実な運用を心がけることが大切。そして1年後に20〜30%値下がりした場合に、その損失に耐えられる金額を想像してみてはどうだろうか」。例えば100万円投資したら、20〜30万円の損失、500万円なら100〜150万円の損……と想像していけばどこかで耐えられない金額になる。そこが投資金額の上限と考えていいだろう。

 「初めて投資をする人は、少額の資金を積み立てていくのをオススメする。なぜなら積立投資の魅力はリスクが小さいことだからだ」。なぜ少額の資金を積み立てていけば、リスクが小さくなるだろうか。例えば1カ月に1度、同じ銘柄の株を同じ金額だけ購入していくと、購入する株が高い時には少しだけとなり、安い時には多くの株を購入することができる。一度にすべての株を購入するのではなく、一定金額を積み増していくことで、平均買付けコストを引き下げることもできる。「投資の第一歩を踏み出すことができない人にとっても、タイミングをあまり考える必要がないので、積立方式から始める方がいい」としている。

yd_cost.jpg 積立投資の魅力(出典:ソニー銀行)
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