持ち金10億円! ダメ投資家と元デイトレーダーが株に挑戦誠倶楽部II(3/3 ページ)

» 2008年07月25日 18時00分 公開
[分散投資特集取材班,Business Media 誠]
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誠倶楽部1号の運用方針

 2008年の夏の陣はすでに、7月1日から始まっている。誠倶楽部1号と2号はどのような方針で運用しているのだろうか。

 1号の運用方針は最初の1カ月(7月)は様子見ということで、日本を代表する大企業を中心に購入し、TOPIX以上の結果を残す。そして8月に入ってからは好調な銘柄を保有し、損が出ている株は売却する。ラストの9月は成績上位者との争いとなるので、相手の動向をにらみながら、売買を行うという作戦だ。

 しかし、である。7月の下落相場に1号が組み入れた銘柄は軒並みマイナスに転じてしまった。夏の陣の参加者2484人中、1号の成績は1551位(7月24日時点)と低迷。このままでは上位に食い込むどころか、TOPIXも下回る結果になるかもしれない。「なんとしてでも、ヘリコプターナイトクルージングのチケットを手にする!」と欲むき出しの1号は、いきなり運用方針を転換したのだ。

 1号が思い付いたのは、「現実にある投資信託の運用方針を真似ることはできないだろうか」というもの。そこで投資信託の情報を扱うモーニングスターのWebサイトで、国内株ファンドの1年間トータルランキング(関連リンク)を見てみることに。過去1年間(6月末現在)のトップは「京都・滋賀インデックスファンド『愛称:京(みやこ)ファンド』」だったが、運用成績はマイナス6.99%。なんとファンドマネージャーという“プロ”が運用しても、トップの成績を残した投信はマイナスだったのだ。逆にいえば、それほど昨年1年間の市場は厳しかったのだろう。

 3位には「(業種別インデックスSF)E医薬品」がランクインしており、医薬品や化粧品関連企業の株式を購入しているようだ。結局、1号は京都や滋賀に拠点を置く企業、医薬品・化粧品関連の銘柄を中心に買うことにした。

元デイトレーダー・誠倶楽部2号はまさかの展開

 元デイトレーダー2号の投資方針は、「相場のことは相場にきけ」という格言を忠実に守ること。「夏の陣は3カ月という短期の取引なので、長期的に成長が見込める企業を買ったとしても、期間内にそれが株価に反映されるかは疑問。ならば、好調な銘柄を素直に買って、流れに乗るのが正攻法ではないか」という考えだ。

 そこで2号は、どの業種の株価が最近上がっているのかを知るため、過去1カ月と過去3か月のセクター(業種やテーマ)別に値上がり・値下がり率をWebサイトでチェック(関連リンク)。すると、紙・パルプや輸送用機器などの値上がり率が高かったので、それらのセクターの中心的な銘柄を組み入れた。

 「相場のことは相場に聞け」という方針を忠実に守っていた2号。7月中旬までの相場は下落基調にあったので、株の売買を“見守っていた”。そして7月17日、月初よりも日経平均株価は4%ほど下がっていたため「悪くないタイミングで買えた」と思っていたが、これが間違いのもとだった。うっかり者の2号は購入が遅れたために、夏の陣の参加資格を失っていたのだ。

 投信王のルールによると、総資産の50%以上を株式で持たなければならないと定められている。それに気付かず、100%現金にしていた2号はルール違反で参加資格を失ってしまったのだ。授賞式のときに、ある参加者から「100%現金にはできないので、下がると思った時はTOB(株式公開買付)※がかかっている銘柄を持っておけばいい」と教えてもらった2号だったが、これでは“後の祭り”だ。

※TOB(株式公開買付)……買付株数・株価・期間を公表して、不特定多数の株主から市場外で株式を集める制度。成立する可能性が高いときは、TOBで指定された株価から動かなくなる。

 しかし、参考記録として運用を続けることは可能。「名誉挽回のためにも、夏の陣ではTOPIXを大きく上回ることを目標にする」と決意を示した。

 スタートしたばかりなのに、いきなり運用方針を転換した1号。ルール無視の取引によって、やむなく失格してしまった元デイトレーダーの2号(一応、参加記録は残る)。1号・2号ともに波乱の幕開けとなったが、今後はどのような展開になるだろうか。次回、誠倶楽部IIの記事掲載をお楽しみに。

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