著者プロフィール:郷 好文
マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年より某会計系のコンサルティングファームのマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」
始まりはメールマガジン『Siren's Mail』からだった。いつものように筆者はざっくり読んでうっちゃって、いつものように相棒Cherryさんはしっかり読んで何かに気付く。
「郷さん、Siren読みました?」
「読んだよ」
「3つ目のタンブラー、ぐっときませんか?」
3つ目? 何だっけ……と思ってスターバックスのメールマガジンSiren's Mailを読み直すと、デジャブ(既視感)なデザインのコールドタンブラーが発売されている。これはおもしろい! う〜んとうならされた。ひと晩うならされて翌朝真っすぐ店舗に行き、手に取るとまっすぐカウンターでチェックアウト。
見た目は使い捨てのコールドカップもどきだが、二層の樹脂構造の保冷タンブラーなのだ
トールサイズの使い捨てのカップとまったく同じデザインで、サイズもほぼ一緒。フタはねじ込み式だが、これも使い捨てカップのデザインを模している。そこに押すストローもスタバ色の緑で、素材感はしっかり。デザイン上、唯一残念だなと思ったのはストローを押す口が閉まらないので、カバンに入れて持ち運びはできないこと。ゴムキャップを自作してみようかと思っている。
ウキウキ気分で自宅に持ち帰ったものの、実はある理由で未使用。ワケはあとで述べよう。
このタンブラーの何にぐっとくるのだろうか? それは、スタバのアイコンである“ロゴの付いたコールドカップ”、そのブランド記憶をもじった“アイコンメモリー”のデザインにである。
アイコンメモリーの製品化例を挙げよう。ボールペンのBICは、その代名詞とも言える黄色と黒のデザインの記憶とつながるノートパッドやリングノート、ブックバンドや付せんを製品化した。
また「HACKED!」という2GBのUSBメモリは、ケーブルにワイアードされていたIT黎明期のパソコンというアイコンを強烈に思いださせる。アイコンメモリーを利用した製品化のウィットに、我々はぐっときてしまう。
これらはアイコンにまつわるぐっとくるである。我々は日々“ぐっとくる”ことを待ち受けているし、売り手もあの手この手でそこを狙っている。“ぐっと”をぐっと考えてみた。
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