2008年度版「FeliCaの基礎知識」――(2)非接触ICカード編(3/3 ページ)

» 2008年07月24日 17時30分 公開
[房野麻子,Business Media 誠]
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非接触ICカード=FeliCa?

 前の記事で説明したように、FeliCaが“かざすだけ”で使えるのは、リーダー/ライターが発する電波をFeliCaカードやおサイフケータイ内のアンテナが受信し、そこで通信が行われるためだ。

 このように、ICチップとリーダー/ライターの間に物理的な接点がなくても利用できるICチップ(カード)を、「非接触IC(カード)」と呼ぶ。FeliCaは、近接型(通信距離10センチメートル以内を想定)非接触ICの一種だ。

 日本で近接型非接触ICといえばFeliCaが最も有名だが、世界で最も普及している非接触ICカードは、蘭Philipsが開発する「Mifare(マイフェア)」である。国内でも、社員証などにMifareを採用している例は多いし、2008年からスタートした、自販機でたばこを購入するときに必要なカード「taspo」もMifareを内蔵している。

 MifareはISO/IEC 14443で標準化されており、TypeAと呼ばれるが、このほか、Motorolaが開発したTypeBと呼ばれる非接触ICもある。日本では、住基カードやICチップ搭載型運転免許証に使われているのがTypeBだ。ソニーは、TypeA、TypeBよりも高速に処理できる非接触ICチップであるFeliCaを、ISO/IEC 14443 TypeCとして標準化することを目指したが、審議を打ち切られてしまった。

IC CARD WORLD 2007でデモ展示されていた、NFCを内蔵した携帯電話

 しかし現在、ソニーはNXPセミコンダクターズ(Philipsの半導体事業が分社した企業)と合弁会社を設立、FeliCaとMifareの上位互換となる新技術「Near Field Communication(NFC)」の開発を進めている。ISOに提案されたNFCは、2003年にISO/IEC 18092として承認された。

 NFC用リーダー/ライターの市販も始まり、またNFCを内蔵した携帯電話も開発中で、新世代のおサイフケータイとして国内外で利用できるようになると期待されている(参照記事)。現在FeliCaでできることは、近い将来NFCに置き換えられていくだろう。

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