「夏休みには家族で焼き肉を」――牛角の限定夏メニューを食べてみた

» 2008年07月15日 22時02分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 ビールを片手に焼き肉――そんな風景が似合う夏場は、焼き肉店の売り上げが1年で最も多くなる時期。さらに、学校が夏休みに入るため、家族連れが店を訪れる機会も増える。焼き肉レストランチェーンの牛角では、期間限定(7月16日から8月31日まで)の特別メニューを投入することで家族客のさらなる増加を狙う。

夏限定メニューのターゲットは家族客

 7月16日からの夏メニュー展開に先立って、15日、赤坂見附店でプレス向け試食会が開催された。冒頭、マーケティング部の中川晋太郎部長は、「ガソリン価格高騰や物価高の影響で消費の冷え込みが予想される中、焼き肉店に行くことを夏休みの“プチイベント”としてくれれば」と夏メニュー展開の目的を話す。また、メニューを増やすだけではなく、駄菓子のつかみ取りのようなイベントも加えることで、子どもが楽しめるような雰囲気を作り出す。

 期間限定の特別メニューは4品で、「やみつきスパイシーチキン」(452円)、「国産切り落としカルビ」(620円)、「牛角冷やしラーメン」(620円)、「かき氷(いちごみるく、抹茶みるく、黒蜜きなこみるく)」(305〜368円)。

国産切り落としカルビ(左)、やみつきスパイシーチキン(中央)、牛角冷やしラーメン(右)

 日本フードサービス協会の調査によると、2007年度の外食産業全体の売り上げは3.4%増加しているが、焼き肉店に限っては3.3%減少している。牛角事業本部の渡邊裕介PR/販促担当シニアマネージャーは、「消費者は価格に敏感なところがあるので、ファミリーレストラン(編注:焼き肉店はこのカテゴリに含まれる)からファストフードに流れているようだ。また、肉は(産地偽装や賞味期限切れなど)いわゆる“食の不安”問題で取り上げられる機会も多いので、その影響も受けているのだろう」と理由を推測。夏メニューの展開で、そうした逆風を乗り越えることを目指す。

2007年度外食産業市場動向

夏メニューのお味は

 試食会が行われたのは、ちょうど昼食時。主催者のあいさつの間、食事をおあずけになってそわそわしていた報道陣は、話が終わると一斉に料理にかぶりついた。

 やみつきスパイシーチキンは、鶏肉にコショウをふんだんにまぶしたもの。パンチの利いた味が印象的で、ビールに合いそう。家族連れならば父親向けの料理のように感じた。従来はひき肉にしていたという国産切り落としカルビだが、しっかりと脂が乗っていた。どこかで食べたことのある味だと思っていたら、実は吉野家の牛丼が使用している肉の部位と同じものだそうだ。

 食事の締めは牛角冷やしラーメン。これは新しいメニューで、スープのない冷やし中華のような麺料理だ。さっぱりとした味に仕上げられており、肉の脂でいっぱいとなった胃を中和してくれそう。

 そして、最後のデザートはかき氷。当然店内の温度は高くなっているので、急いで食べなくてはならない。溶けかけた氷をひとすくい口に入れると、子どものころの夏祭りの思い出が呼び覚まされる。

黒蜜きなこみるく味のかき氷

 新メニュー導入にはいろいろと苦労があったという。特にかき氷をメニューに加えるには苦労したようで、マーケティング部の根本寿一総料理長は、「かき氷器を置くスペースが店にないため、工場で氷を粉状にして運んでくる。運ぶ際に溶けないように、氷に砂糖をまぶすといった工夫をしている」と話す。

 昨今、食料品価格が高騰しているが、「国産切り落としカルビは、従来ひき肉にしていた部分を焼き肉用にしたことで、安価に提供することが可能となった。ロス率を下げたり、工場の作業効率を上げたりすることで、原材料高を価格に転嫁しないよう努力している」(根本氏)という。

 厳しい業界情勢の下、夏メニュー投入で夏休みの家族需要をどれだけ満たせるかが注目される。

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