ニュース
» 2008年07月09日 17時38分 UPDATE

ISOT 2008:石から作られた紙「ViaStoneペーパー」

紙パルプを使わず、石灰岩を主成分とした紙がISOT 2008で紹介されている。価格は約2倍だが、森林資源保護から水質保護、そしてCO2削減にも効果があるという。

[斎藤健二,ITmedia]

 石から紙が作れることはご存じだろうか。ViaStone JAPANが国内販売する「ViaStoneペーパー」は、石灰岩を主成分とした紙。紙パルプを使わないため森林資源に負担をかけないほか、エネルギー使用量が少ないなど、環境負荷が少ない点が特徴。また水に強いため、アウトドア用途など防水性能が求められる用途にも向く。

ks_stonepaper1.jpg 森林資源の保護を訴え「石から生まれた」とアピールするViaStoneペーパー

 「もともとは台湾で開発された新素材で、開発には12年かかりました。米国では4年前から販売しており、日本では今年に入って販売を始めています」とViaStone JAPAN。

木材を全く使わないからエコ

ks_stonepaper2.jpg

 この紙の原料は、チョークやライン引きの粉に使われる石灰岩(CaCO3)が80%、紙形状にするための“つなぎ”に使われる高密度ポリエチレン(HDPE)が20%。紙パルプは一切使われていない。一般の合成紙が石油を主な原料としているのに対し、石油由来のポリエチレンの量が少なく、環境に優しい。

 一般的な紙はパルプから作るが、「パルプの製造には原油を使うので原油高の影響を受けやすい」とViaStone JAPAN。原油高騰で紙価格が値上げとなったのも記憶に新しい。ViaStoneぺーパーは、ポリエチレンこそ原油から製造するが、全体ではエネルギー使用量を減らせるという。

 またパルプ製造に必要な水を必要としないので、排水もなく水質汚染の原因にもならない。焼却時も、石灰岩部分は燃えないためCO2排出量を2分の1に抑えられるという。

水に強いが、熱には弱い

 石とプラスチックからできているだけあって、耐水性能に優れているのも特徴だ。雨はもちろん、水に直接つけても問題ない。一方で、「耐水性があるのでインクジェットプリンタでの印刷は難しい。インクがのらない」(ViaStone JAPAN)という欠点もある。金属などへの印刷に使われる特殊なプリンタなら印刷可能なほか、オフセット印刷など商用印刷では問題ない。

 もちろん、ペンなどでは普通に書き込めるが、水性インクのノリは悪い。

 もう1つの課題は熱。ポリエチレンが熱に弱いため100〜110度の熱で変形してしまう。コピー機やレーザープリンタは、トナーを熱で溶かして紙に定着させる仕組みだが「そのときの熱でViaStoneペーパーが柔らかくなり伸びてしまったりする。まだ使えない」。一方で、熱で成型できるため、食品用の紙トレイなどへの応用も検討中だ。

 紙はかなりの長期間保管が可能だが、ViaStoneペーパーはどうか。実は「太陽光などに含まれる紫外線によって、8カ月くらいで分解する」という。そのため保存するのが前提の書類や書籍などには向かない。一方で、全く分解しない合成紙と比べると、自然環境に廃棄された場合も石灰岩へと分解するため環境負荷が低いという。また、紙は劣化するとともに黄ばんでいくが、ViaStoneペーパーは漂白剤を使っておらず、石灰岩の白さを生かしている。そのため分解はするが黄斑は出ない。

価格は紙の1.5倍〜2倍。リサイクルには気をつけて

 面白い特徴を持ったViaStoneペーパー。まだ生産量が少ないこともあって「同じ厚みで、一般的な紙の1.5倍〜2倍程度の価格」(ViaStone JAPAN)とコストは厳しい。

ks_stonepaper3.jpg ViaStoneペーパーで作られた製品のサンプル。一般的なメモ帳のほか名刺なども。中央はゴルフのスコアカード、右は封筒。水に強い点が生きそうな用途だ

 ただしViaStoneペーパーで作られた名刺のサンプルには、

  • 森林資源・水資源保護のため、石を主原料としている
  • パルプ紙に比べCO2削減に効果があります

 と記載されており、再生紙利用よりもエコアピール度は強そうだ。

 なお、石が主原料なので一見紙に見えても再生紙の原料にはならない。古紙の資源回収に混ぜず「燃えるゴミとして出してほしい」ということだった。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -

ITmedia 総力特集