金融庁は7月8日、ネットバンキングなどの被害発生状況を発表した。金融機関からの報告をまとめたもので、PCや携帯電話を使ったインターネットバンキングで被害に遭った件数が2007年度は231件と、前年度と比べ倍増していることが分かった。
最も多かった被害手口はフィッシング詐欺。銀行などを装ったメールを送り付け、その銀行にそっくりな偽Webサイトにネット口座などのパスワードを入力させて、それを入手し、不正に預金を引き出すという手口だ。ネットバンキングを導入している金融機関は約9割に達し、それに伴い被害件数も増加傾向にある。2005年度の被害件数は49件、2006年度は100件と年々倍増しており、被害発生に歯止めが掛からない状況だ。ただ2007年度は「一部の金融機関でフィッシング詐欺の被害が集中したため、被害件数が倍増した」(金融庁)という。
フィッシング詐欺のほかには、ファイル交換ソフトを使用していたためパスワードを盗まれたり、被害に遭った原因が分からない、といった事例が目立った。
− | 2003年度 | 2004年度 | 2005年度 | 2006年度 | 2007年度 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
偽造キャッシュカード | 106 | 468 | 913 | 636 | 663 | 2795 |
盗難キャッシュカード | − | 463 | 6121 | 6867 | 4955 | 1万8406 |
盗難通帳 | 670 | 305 | 280 | 254 | 244 | 1753 |
ネットバンキング | − | 1 | 49 | 100 | 231 | 381 |
ネットバンキングの被害件数は増加傾向にある一方で、偽造キャッシュカードや盗難キャッシュカード、盗難通帳による被害件数は横ばいまたは減少傾向にある。偽造キャッシュカードの被害件数は2005年度の913件をピークに、2006年度は636件、2007年度は663件と横ばい。盗難キャッシュカードは2005年度が6121件、2006年度が6867件と増加していたが、2007年度は4955件に減少。また盗難通帳も2006年度は254件だったが、2007年度は244件とわずかに減少した。
偽造キャッシュカードを防止するために有効な生体認証付きICカード(ICカード)。これに対応したATMの普及率は33%だが、実際にICカードを保有しているのは3%にとどまる。ICカードが普及しない要因として「ICカードに対応したATMは増えているものの、まだまだ不十分。今後、ICカード対応のATMが増えれば、預金者に広まっていくだろう」(金融庁)という。また「多くのICカードは手数料が必要となるため、現在持っている磁気タイプのキャッシュカードを使っている人が多い」(同)と分析している。
金融庁はWebサイトなどを通じて、安全性の高いICカードへの切り替えを預金者に促していくという。また金融機関もICカードの拡大を図っているが、更新手数料を必要とするところが多く、預金者への普及が進んでいないようだ。
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