ネット預金の被害が止まらない! 被害件数は前年度から2倍

» 2008年07月09日 13時10分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 金融庁は7月8日、ネットバンキングなどの被害発生状況を発表した。金融機関からの報告をまとめたもので、PCや携帯電話を使ったインターネットバンキングで被害に遭った件数が2007年度は231件と、前年度と比べ倍増していることが分かった

 最も多かった被害手口はフィッシング詐欺。銀行などを装ったメールを送り付け、その銀行にそっくりな偽Webサイトにネット口座などのパスワードを入力させて、それを入手し、不正に預金を引き出すという手口だ。ネットバンキングを導入している金融機関は約9割に達し、それに伴い被害件数も増加傾向にある。2005年度の被害件数は49件、2006年度は100件と年々倍増しており、被害発生に歯止めが掛からない状況だ。ただ2007年度は「一部の金融機関でフィッシング詐欺の被害が集中したため、被害件数が倍増した」(金融庁)という。

 フィッシング詐欺のほかには、ファイル交換ソフトを使用していたためパスワードを盗まれたり、被害に遭った原因が分からない、といった事例が目立った。

2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 合計
偽造キャッシュカード 106 468 913 636 663 2795
盗難キャッシュカード 463 6121 6867 4955 1万8406
盗難通帳 670 305 280 254 244 1753
ネットバンキング 1 49 100 231 381
※偽造キャッシュカード被害発生件数の合計は、2000年度の1件、2002年度の8件を含む。2004年度の盗難キャッシュカード、ネットバンキングの被害発生件数は2005年2月から3月までの数字。

普及が進まない生体認証付きICカード

 ネットバンキングの被害件数は増加傾向にある一方で、偽造キャッシュカードや盗難キャッシュカード、盗難通帳による被害件数は横ばいまたは減少傾向にある。偽造キャッシュカードの被害件数は2005年度の913件をピークに、2006年度は636件、2007年度は663件と横ばい。盗難キャッシュカードは2005年度が6121件、2006年度が6867件と増加していたが、2007年度は4955件に減少。また盗難通帳も2006年度は254件だったが、2007年度は244件とわずかに減少した。

 偽造キャッシュカードを防止するために有効な生体認証付きICカード(ICカード)。これに対応したATMの普及率は33%だが、実際にICカードを保有しているのは3%にとどまる。ICカードが普及しない要因として「ICカードに対応したATMは増えているものの、まだまだ不十分。今後、ICカード対応のATMが増えれば、預金者に広まっていくだろう」(金融庁)という。また「多くのICカードは手数料が必要となるため、現在持っている磁気タイプのキャッシュカードを使っている人が多い」(同)と分析している。

 金融庁はWebサイトなどを通じて、安全性の高いICカードへの切り替えを預金者に促していくという。また金融機関もICカードの拡大を図っているが、更新手数料を必要とするところが多く、預金者への普及が進んでいないようだ。

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