「リッチ層」と聞いて、どんな人を想像するだろうか。クレジットカードのプラチナカードを持っていたり、豪邸や高級車を保有したり、豪華客船で旅行をしたり、このような人たちを思い浮かべるかもしれない。メリルリンチなどの調査によると、住居を除いて100万ドル(約1億1000万円)以上の資産を保有している日本人は、2007年末時点で前年比2.2%増の151万人と、過去最高となった。
リッチ層が増加した背景には「2007年の日本経済は円安トレンドや海外における資本投資に支えられ、輸出が堅調だった」(メリルリンチ)としている。しかし2008年の日本経済は「原油高や原材料費の高騰、米国への輸出減などが経済成長を抑制するかもしれない」(同)と指摘。ガソリン価格の高騰は庶民の家計を直撃するだけでなく、リッチ層の資産にも影響を及ぼしそうだ。
国別で見ると、最もリッチ層が増えたのはインドで22.7%増の12万3000人、次いで中国が20.3%増の41万5000人、ブラジルが19.1%増の14万3000人だった。BRICs諸国を中心にリッチ層の増加が目立った背景には「著しい経済成長や株式時価総額の拡大があり、グローバル経済の中心的な役割を果たしている」(同)からだという。
国 | リッチ層の人口 | 株式時価総額と実質GDP |
---|---|---|
インド | 12万3000万人(前年比22.7%増) | 株式時価総額は118%上昇し、実質GDPも7.9%増加。 |
中国 | 41万5000人(同20.3%増) | 株式時価総額は291%上昇し、実質GDPも11.4%増加。 |
ブラジル | 14万3000人(同19.1%増) | 株式時価総額は93%上昇し、実質GDPも5.1%増加。 |
また世界で100万ドル以上の資産を保有するリッチ層は、2007年末時点で前年比6.0%増の1010万人。また3000万ドル以上(約33億円)の資産を持つスーパーリッチ層は同8.8%増の10万3300人に達した。メリルリンチは「リッチ層の保有資産高は年率7.7%の速度で成長し、2012年までに59兆1000億ドル(約6500兆円)に達する」と見込んでいる。日本では“格差”問題がしばしば取り上げられるが、BRICs諸国でもリッチ層と庶民との“格差”が開きそうだ。
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