高速道路をもっと便利にする「スマートインターチェンジ」とは?

» 2008年07月07日 14時40分 公開
[青山祐輔,Business Media 誠]

 ETCは、車載器の大幅な値下がりや助成金などの施策の後押しもあって、この5年ほどで急激に普及した。ほとんどの高速道路の料金所にはETCゲートが設置されるようになり、国土交通省によればETC車載器の搭載台数は2000万台を超え、高速道路でのETC利用率は74.4%にまで達したという(2008年6月時点)。

 このETCの利便性をさらに活用することを目指して、国土交通省では2004年から「スマートIC」の実証実験を行なっている。この場合の“IC”とは、ICカードなどの「集積回路」を意味する電子部品のことではなく、高速道路の出入り口である「インターチェンジ」のことを指す。まだあまり知られていないが、このスマートICは料金徴収を機械で代行できるというETCのメリットを活用した、新しいインターチェンジ(出入り口)の仕組みだ。

(出典:国土交通省)

2006年から本格導入が実施されているスマートIC

 高速道路は便利なものだが、有料道路という性格のため料金徴収の必要性、すなわち「料金所」の設置が必須となってしまう。そして、高速道路のデメリットの1つとして、有料であるために、限られた出入り口からしか乗り降りができないという点がある。そこでスマートICは、ETCによる簡易料金徴収設備(簡易ETC)を用いたインターチェンジをサービスエリアやパーキングエリアに設置している。

 これによって、もともと設置されているインターチェンジの間を補完して、さらに高速道路の利便性を向上させるというものだ。2004年に実証実験として始まってから4年が経過し、多くのスマートIC設置箇所で近隣へのアクセス時間が向上するなどの効果が見られたため、2006年から本格導入が実施されている。

駒寄パーキングエリアのスマートICを利用してみた

 そして、実際に関越自動車道の駒寄パーキングエリア(群馬県)に設置されたスマートICを利用してみた。駒寄パーキングエリアは上下線とも駐車スペースが約50台前後という小規模なパーキングエリアだ。東京方面から下り線(長岡方面)のパーキングエリアに入り、駐車スペースを通り過ぎ、本線への合流路に入る直前に、スマートICがある。

 有料駐車場にあるようなバーが道をふさいでおり、そこで一時停止をする。直上に設置された送受信機と車載器が通信を行ない、料金が徴収されてゲートが開く。一般のETCゲートは、徐行しながら通過することができるが、スマートICの簡易ETCは必ず一時停止が必要だ。帰りは、上り線のスマートICから関越道に乗り入れた。こちらも使い方はまったく同じ。

駒寄PA(下り線)に設置されたスマートIC。上部のアンテナ、一時停止バー、料金表示ディスプレイの3つがセットになっている(左)、駒寄PA(下り線)のスマートICを出口側から見たところ。ひっきりなしに車両が通過する。現在は普通車と小型車専用になっている(右)

 駒寄パーキングエリアのスマートICは、2004年の実証実験開始時から運用されており、もっとも利用頻度が高いスマートICの1つだという。取材時も、平日の午前中という時間帯にも関わらず、15分ほどの間に約10台ほどの利用があった。

 特定のインターチェンジへの車両の集中は、渋滞の一因になる。しかしスマートICによって、インターチェンジを低コストで増やすことができれば、通行量の分散にもつながり渋滞の減少も期待できる。単なる利便性の向上だけでなく、渋滞を減らすことによって遠回りながら温暖化ガスの減少にもつながるだろう。

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