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» 2008年06月24日 09時27分 UPDATE

神尾寿の時事日想・特別編:エコで賢いハイテクカー「ゴルフ TSI トレンドライン」に乗ってみた (1/3)

ガソリン価格の高騰で、“低燃費なクルマ”へのニーズは高まる一方だ。フォルクスワーゲングループジャパンが発表した「ゴルフ TSI トレンドライン」は、歴代フォルクスワーゲン車の中で最高の燃費を誇る。1.4リッターガソリンエンジンを積んだ、欧州型ハイテクエコカーの乗り心地はいかに?

[神尾寿,Business Media 誠]

 世界的なガソリン価格高騰もあり、低燃費なクルマは“環境意識が特に高い人向け”ではなくなってきている。ガソリンをあまり消費せず、環境負荷が低いということはそれだけ経済性の高さにもつながる。ガソリン高で、エコロジーとエコノミーの2つがかみ合う環境になったこと(=なってしまったこと)で、「低燃費であること」が現代のクルマの存在理由になりつつある。

 この“エコカー”として、日本で注目されているのが「ハイブリッドカー」や「EV (電気自動車)」だ。どちらも電動モーターの駆動力を使ってクルマを走らせるもので、前者は大幅な実用燃費の向上、後者はガソリン消費量ゼロが実現できる。

 一方、欧州市場で以前から市民権を得ていたエコカーが、「クリーンディーゼル」と、その技術を応用した小排気量+新型ターボ(過給器)技術による「ガソリンエンジンの改良」だ。さらに欧州では日米と違い、燃費への負荷が小さいマニュアルトランスミッション(MT)が主流であり、これを進化させた「セミオートマティックトランスミッション」の技術改良も進んでいる。欧州でもハイブリッドカーやEV投入の動きがあるが、現時点での“エコカー”はこれらクリーンディーゼルや改良ガソリンエンジンである。

 そのような中で、6月17日、フォルクスワーゲングループジャパンが、ゴルフの新しいエントリーモデル「ゴルフ TSI トレンドライン」(TSI)を発売した。これは小排気量+ターボの新型ガソリンエンジンと、同社のセミオートマティックトランスミッション「DSG」を搭載。歴代のフォルクスワーゲン車で最高性能となる1リッター当たり15.4キロメートル(10・15モード燃費)という低燃費を実現し、その上で欧州車ならではの高い安全性能と走る楽しさを両立させたという。しかも価格は248万円からと、エコカーかつ欧州車としてはお手頃価格だ。

 さて欧州型のハイテクエコカーは、どのようなものか。今回の時事日想は特別編として、TSIの試乗レポートをお届けする。

小排気量ターボ+世界初の7速DSG

 「これって本当に1.4リッターなんですか!?」

 試乗に同行したD記者が驚きの声を上げる。筆者は以前にもフォルクスワーゲンの小排気量ターボエンジンに乗ったことがあったが、それにしても“よく走る”という印象を毎回受けるのは事実だ。

 TSIが搭載するエンジンは、日本初投入となる1.4リッターTSIシングルチャージャーエンジン。最新のクリーンディーゼルで培われた、高圧インジェクターで燃焼室内にガソリンを直接噴射する“直噴化”の技術と、軽量コンパクトな新型ターボチャージャーによって、小排気量ながら出力・トルク面の底上げが行われている。「1.4リッターエンジンで、(従来の)2リッターエンジンに匹敵するトルクを発生させることに成功した」(フォルクスワーゲングループジャパン)という。高効率かつ低燃費なダウンサイジングエンジンというのが、新型TSIの身上だ。

yd_car1.jpgyd_car2.jpg 歴代最高の燃費性能を実現したゴルフ TSI トレンドライン

 実際に走らせてみても、その実力のほどは確かに感じられる。アクセルを踏み込めば、前に進む力が沸き上がってくる印象で、そこに“エコ重視”だからといった言い訳じみた非力さはない。特に加速性能は特筆すべきものがあり、安っぽいクルマのようにグワッと走り出す下品さではなく、スルスルと上品にどこまでも加速していく感じだ。

 この上品な乗り味には、新型エンジンと組み合わせられている、こちらも新開発となるトランスミッション(変速機)の優秀さも一役買っている。

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