喫煙で記憶力減退の恐れ――仏研究機関調査

» 2008年06月11日 07時46分 公開
[ITmedia]

 喫煙は中年期の記憶力減退のリスクを高めるようだとする研究結果が発表された。

 この研究は仏国立保健医学研究所(INSERM)によるもので、「Archives of Internal Medicine」の6月9日号に掲載されている。研究者らはその中で、喫煙は認知症のリスクファクターであると結論づけている。

 この研究は1985〜1988年に健康調査に参加した35〜55歳のロンドンの公務員を対象に行い、調査参加時および1997〜1999年の喫煙習慣を評価した。そのうち5388人が1997〜1999年に記憶、論理的思考、語彙(ごい)、言葉の流ちょうさのテストを受け、4659人が5年後に再度テストを受けた。

 初回のテストでは、調査開始時に喫煙していた被験者は、喫煙したことがない被験者と比較して、成績が低いグループ(下位20%)に入る傾向が高かった。また当時、元喫煙者だった被験者は、語彙と言葉の流ちょうさのテストで低い点を取る確率が喫煙者よりも30%低かったという。

 また調査期間中に喫煙をやめた被験者は、アルコール摂取を控えたり、運動を増やしたり、野菜や果物の摂取を増やしたなど、ほかの健康習慣も改善が見られたという。

 研究チームは、中年期の喫煙は記憶力の減退および論理的思考能力の低下と関連があること、かなり前に禁煙した元喫煙者は記憶力、語彙、言葉の流ちょうさが減退する傾向が低くなること、中年期に喫煙をやめるとほかの健康習慣も改善されることを結論として挙げている。また喫煙者の死亡率と再テストへの不参加率は非喫煙者よりも高かったため、喫煙と認知の関連性はさらに高い可能性があるとも述べている。

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