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» 2008年06月03日 15時46分 UPDATE

ロサンゼルスMBA留学日記:メキシコ人の“アレ”だけは何とかならないか

ロサンゼルスのメキシコ人街に住んでいる筆者には、ある悩みがある。家族を大切にし、フレンドリーな気質のメキシコ人たちは愛すべき人々なのだが、しかしそれでも、隣人として暮らすとなるとどうしても我慢ならないモノがあるのだ。

[新崎幸夫,Business Media 誠]

著者プロフィール:新崎幸夫

南カリフォルニア大学のMBA(ビジネススクール)在学中。映像関連の新興Webメディアに興味をもち、映画産業の本場・ロサンゼルスでメディアビジネスを学ぶ。専門分野はモバイル・ブロードバンドだが、著作権や通信行政など複数のテーマを幅広く取材する。


 米国留学をしていると、多様な文化に触れることができる。今回紹介するのは、ヒスパニック・カルチャーについて。ヒスパニック(Hispanic)とは中南米のスペイン語圏諸国から米国に渡ってきた移民、およびその子孫を指す。もっと平たくいうと、在米メキシコ人とか、在米キューバ人のことだ。

 基本的に気のいいフレンドリーな人間が多いが、彼らの近所に住むのはちょっと考えたほうがいいかもしれない。理由については、後で詳しく述べる。

ay_mexico.jpg メキシコ国旗

一大勢力だけに、選挙にも影響?

 最初に、メキシコ人たちがどんな人間かを紹介しておこう。独断と偏見に満ちた「典型的ヒスパニック像」を描くとすれば、彼らはいつも家族と一緒にいる。ひげを生やしたおじさんと、全体にボディラインの丸いおばさんが、小さな子どもや赤ちゃんを連れているというのがよくあるパターンだ。食べるのはタコスやブリトー。ロサンゼルスにはマクドナルドと同じような感覚で、ファストフードのメキシコ料理店(Taco Bellなど)が点在している。そして彼らの平均所得は、さほど高くない。

ay_tacobell.jpg 米国のあちこちで見かける「Taco Bell」。タコス(写真)やブリトーなどが主力メニューだ

 米国でのヒスパニック人口は年々拡大しており、現時点では4000万人を超えると言われている。最近の大統領選挙でも「ヒスパニック票がどう動くか」が注目されるなど、米国社会における一大勢力といえる。

 実際、ロサンゼルスで電話窓口に電話するとたいてい最初に言語選択のメニューがあり、「英語は1番を、スペイン語は2番をプッシュしてください」と言われる。「日本語は3番をプッシュ」などというアナウンスは、聞いたことがない。つまり、英語を母国語とする米国の中で、それだけメキシコ人たちの存在感が大きいことが分かる。

 テレビを見ても、メキシコ人たちの番組が複数放送されている。米国ユーザーは多チャンネルのケーブルテレビを視聴することが多いが(関連記事)、このチャンネルの中にスペイン語のチャンネルが数多く含まれている。NBC系列の「Telemundo」や「TV Azteca」などが大手だが、こうした局がメキシコのテレビ番組を米国で放送していたりする。

 ラテンアメリカ発のメロドラマである“テレノベラ”は有名で、複雑な人間関係をベースにした愛憎劇なわけだが、これが他国に輸出されるほど人気を博している。日本に置き換えていうと、テレビのチャンネルの中に「韓国チャンネル」が複数あり、韓国語のドラマが毎日放送されていて、ヨンさまに代表される純愛ドラマが話題になっているといったところか。

 家族を愛し、隣人にも概ねフレンドリーな彼らだが、1つ難点がある。率直に言おう。「うるさい」のである。

夜中の1時過ぎまでパーティをするな!

 彼らはしばしば、ラジオを大音量で鳴らす。筆者の住んでいた場所は比較的家賃が安い、いわば「メキシコ人街」だったわけだが、このラジオの騒音にはしばしば悩まされた。とにかく、勉強が手につかないぐらいボリュームが大きい。

 音楽の内容も、クラシックだったらまだいいのだが、メキシコ人独特の「オラは幸せだ〜よ〜」(パラパラパー)といった曲調のものが延々とループする。早朝であろうと、夜中であろうと、平気で音楽を鳴らす彼らの神経は、正直いってよく分からない。

 極めつけは「パーティ」である。メキシコ人はパーティが大好きだ。庭に出て、バーベキューなどをしながら、例によって大音量の音楽を鳴らしながら踊ったり、会話を楽しんだりするというスタイルなのだが、これを隣近所でやられるとたまったものではない。とにかく、部屋に座っていてズンズンと体に振動が伝わるぐらいうるさい。こちらも勉強をしなければならないので、慌ててトイレに駆け込み、ドアを閉めて耳栓をして、どうにかこうにか予習をする、といった具合だ。これが、ひどいときは夜中の1時過ぎまで続く。さすがに文句を言ってやろうかとも思ったが、メキシコ人街の中ではマイノリティの自分が、彼らと対立するのもどうか、という思いもあり、基本的には忍耐の一語だった。

 そんな環境にも案外と慣れてくるもので、滞在して約2年が経つと、まあそんなものかな、という気もしてくる。最近はあれほどうるさく思えたメキシカン・ミュージックが、どこか愛おしくなったりするのだが、これは卒業を直前に控えた感傷のせいだろうか。

 夕方、西日が差し込むロサンゼルスの一室でベッドに寝転がり、風にのって聞こえてくる音楽に独り耳を傾ける。タイトルは分からないが、リズムを覚えてしまった曲もある。中には個人的に気にいった楽曲もあり、「ああ、この騒音とも、おさらばなのだなあ」と勝手にしみじみしたりもするのである。

 ――ズンチャカ、ズンチャカ、パラパラパー♪

 ……というか、やっぱりうるさいよ!!

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