講談社が発行している週刊漫画誌「モーニング」で連載中の『課長 島耕作』シリーズ。その主人公・島耕作の社長就任会見が5月28日、東京都内で開かれた。「漫画の世界から飛び出し、キャラクターが社長就任会見を開いたのは業界初めて」(講談社)という※。
冒頭、大スクリーンに初芝五洋ホールディングスの従業員が登場し、「5月28日の取締役会で代表取締役社長への就任が正式に決定した」と発表。そして黒のスーツに赤と白のストライプのネクタイをした島耕作新社長がスクリーンに現れ、経営方針を発表した。「“シンクグローバル”をスローガンに、世界市場を視野に入れた新たなブランドを展開します。具体的には少子化で人口が減少していく日本ではなく、経済が拡大している中国やインドで積極的に展開していきます」との考えを打ち出した。
司会を務めたフリーアナウンサーの中井美穂さんが代表して、島耕作社長に質問した。島耕作社長の特技は? の質問には「どの国に行っても、馴染むのが早いことです。またなんでも食べることが、その国への礼儀だと思います」と回答。また仕事とプライベート、どちらが大切か? という質問には「私は仕事を愛している。プライベートよりも仕事」ときっぱり。しかし仕事と女性を比べれば? と聞かれると「仕事と女性は天びんにかけることはできません。どちらも大切です」と明言を避けたため、会場には笑いが起きた。
会場には島耕作ファン代表として俳優の辰巳琢朗さん、お笑いタレントの次長課長さん、タレントの中川翔子さんの姿もあった。そしてスーツからモーニングに着替えた島耕作社長がスクリーンに現れると、辰巳琢朗さんは「島耕作社長とお会いできるのは非常に光栄です」と祝福の言葉を述べようとして、スクリーンにいる島耕作社長か、会場に向かってあいさつするべきか、とまどっていた。
作者の弘兼憲史(ひろかね・けんし)さんは「島耕作は私の手からすでに離れ、キャラクターが1人歩きを始めている。島耕作の方から“ああしろ、こうしろ”と命令されて描いているようだ」と話した。
そして会場にかけつけた人に缶ビールが配られ、全員で島耕作の社長就任を祝福し、就任会見&乾杯式は終了した。おみやげには「代表取締役社長 島耕作」と書かれた名刺が配られ、住所は「東京都港区愛宕8丁目6番1号」、電話&ファックス番号は「03-2300-000X」と明記されていた。
島耕作シリーズは「モーニング」で1983年にスタート。実は当時の編集長から「なんでもいいから、時間が空いたときに読み切りを1本」と頼まれた弘兼さんは、読み切り作品のつもりで『カラーに口紅』というタイトルを付けて、描き上げた。しかし雑誌に掲載されたときのタイトルは『係長 島耕作』(『コミックモーニング』で掲載)になっていて、編集長から「これはシリーズにしたいから」のひとことで、連載が始まったのだ。
そして係長から課長に昇進し、モーニングで『課長 島耕作』の連載が始まった。第1話がオフィスラブだったため、2、3話もオフィスラブの話だったが、次第にビジネスの世界を中心にストーリーが展開していくようになった。
1991年に『課長 島耕作』は、第15回講談社漫画賞一般部門を受賞、1992年に連載が終了した。その後、映画化やドラマ化され、1998年に『部長 島耕作』がスタート。『部長 島耕作』が連載している途中で、『ヤング 島耕作』が「イブニング」(講談社)で始まった。そして『取締役 島耕作』、『常務 島耕作』、『専務 島耕作』と続き、単行本は累計で3000万部を突破している。モーニングの古川公平編集長は「島耕作は順調に出世して、モーニングの看板作品となった。漫画のキャラクターというより、もはや日本一有名なサラリーマン」とコメントした。
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