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» 2008年05月19日 16時47分 UPDATE

サービス開始初日レポート:日本どこでも同じカードが使えることを目指す――九州で「nimoca」スタート

5月18日、福岡・博多で西日本鉄道が運営する交通ICカード「nimoca(ニモカ)」のサービスが始まった。限定版カードが即日完売するなど出足は好調。初日の様子をレポートする。

[神尾寿,Business Media 誠]

 西日本鉄道が18日、交通ICカード「nimoca (ニモカ)」のサービスを開始した。天神大牟田線、太宰府線、甘木線の全駅と、福岡都心部を走る一部のバス路線で利用可能。電子マネーとしては福岡・天神を中心に約500店舗で利用できる。

ay_nimoca01.jpgay_nimoca02.jpg 西鉄幹部と来賓によるnimoca「渡り初め」のようす

 →nimocaサービス詳細について(参照記事)

 →西日本鉄道、JR九州、福岡市交通局、JR東日本の相互利用について(参照記事)

目標は5年で100万枚

ay_nimoca03.jpg 西日本鉄道の長尾亜夫社長

 サービス開始の記念式典で、西日本鉄道社長の長尾亜夫氏はnimocaが他の交通IC乗車券・電子マネーとの相互利用を前提に、利用者の利便性向上と福岡の地域経済活性化を重視している点を強調した。

 「nimocaは西鉄の鉄道・バスで利用できるだけでなく、2010年にはJR九州の『SUGOCA』(参照記事)福岡市交通局の『はやかけん』(参照記事)とも相互利用いたします。また電子マネーとして広く福岡の商業エリアに広げていく。西鉄は今年創立100周年となりますが、今後も地域とともに発展していく。その象徴ともいえるのが、nimocaです」(長尾氏)

 また、交通IC分野の先駆的存在で、首都圏で広く普及しているJR東日本の「Suica」と同じ、日本鉄道サイバネティクス協議会の共通規格を用いて、「(2010年の)4社相互利用化が実現した後も、他の交通ICとの相互利用化に取り組んでいきたい。最終目標は全国どこに行っても同じカードが使えること」(長尾氏)と語った。西日本鉄道では今後5年で、nimocaの普及枚数を100万枚にする目標だという。

天神エリアはnimoca一色。フェレットで女性ウケも抜群!?

 西日本鉄道ではnimocaのサービス開始にあわせて、1万枚限定の記念カードを発売したほか、天神エリアの各所でnimocaの販売・紹介キャンペーンを実施した。天神は同社の拠点エリアで、nimoca電子マネー加盟店が多いこともあり、まさに「nimoca一色」。イメージキャラクターであるフェレットが、各所で見受けられた。

 この“フェレット効果”かどうかは分からないが、天神周辺を取材して印象的だったのが、nimocaの販売・申し込み受付コーナーに女性の姿が多かったこと。特にポイント特典が充実している「スターnimoca」や「クレジットnimoca」(参照記事)の申込書を記入する女性が目立った。また、サービス開始記念として用意された限定版のnimocaカードは、18日午後にはほぼすべての販売所で売り切れになった。

ay_nimoca10.jpgay_nimoca11.jpg 天神駅のアトリウムに巨大なフェレットが出現。この他にも、フェレットのポスターは各所に貼られ、ぬいぐるみもあちこちに置かれていた。「フェレットみっけ」どころの騒ぎではない。フェレットだらけである

ay_nimoca04.jpgay_nimoca05.jpg 各所に用意されたnimocaの販売・申し込みコーナー。サービス開始直後にもかかわらず、女性の姿が目立っていたのが印象的。フェレットの“かわいさ効果”か!? Suicaのペンギンの強力なライバルになりそうだ

 電子マネーの加盟店でも、駅ナカのキオスクやローソン、駅に隣接する三越など百貨店の販売コーナーでは、さっそく利用しているユーザーを見かけた。ローソンなど(参照記事)、すでにiD/Edy/QUICPayなど他のFeliCa決済方式に対応している一部の店舗では、「リーダー/ライターの2台置き」をして、nimoca電子マネーへ対応していた。nimoca電子マネーでのリーダー/ライター共用化は、今のところ行われていない模様だ。

 また駅から少し離れた店舗には、nimoca電子マネーの専用チャージ機やポイント交換機が置かれ、“駅から離れるとチャージが難しい”という交通系電子マネーの弱点を補っている。このあたりの配慮は後発組ならではと言えるだろう。

ay_nimoca07.jpgay_nimoca08.jpg 駅のキオスクや売店はもちろんnimoca電子マネーに対応。初日から利用者の姿をかなり見かけた(左)。ローソンのnimoca対応レジ。全国規模でローソンが対応する「iD/Edy/QUICPay」対応の共用型リーダー/ライターの隣に、nimoca電子マネー用のJR東日本メカトロニクス製の共用型リーダー/ライターが設置されている。複数方式に対応するマルチ端末が2台置きされているのは珍しい(右)

来年にはバスが全面対応。交通と商業をセットで発展させる

ay_nimoca06.jpg ニモカ社長の陶山秀昭氏。西日本鉄道専務執行役員との兼務

 天神エリアを中心に見ると、nimocaの滑り出しは順調だ。しかし、今後さらにnimocaが拡がる上で重要なのは、「(にしてつ)バスの全面対応」(西日本鉄道取締役専務執行役員 兼 ニモカ代表取締役社長の陶山秀昭氏)だ。西日本鉄道は約3000台のバスを保有しているが、現時点でnimocaに対応しているのは1路線152台。電車とバスの乗り換え需要を考えても、バスでの対応は急務だ。

 「バスでのnimoca対応は一気にというわけにはいきませんが、来年には全車両でnimocaを導入したい。(電車・バスの)交通系でネットワークにしていくことで、nimocaの普及枚数や利用率はあがっていくと考えています」(陶山氏)

ay_nimoca09.jpg バスは乗り口と降り口の運賃箱にリーダー/ライターが設置されている

 その上で、電子マネー分野では独自のポイントサービスを軸に、加盟店の拡大と利用促進に注力するという。

 「nimocaでは、鉄道・バスの乗車ポイントと電子マネーの利用ポイントを再びnimocaにチャージして循環できるようにしています。将来的にnimocaが100万枚規模になれば、交通と商業が電子マネーとポイントで連携し、そこがユーザーの利用促進に繋がる。地域の商業活性化にも貢献できるでしょう。nimocaを軸に地域活性化を図っていきたい」(陶山氏)

 サイバネ規格を使う交通ICは全国に拡がってきているが、電子マネーやポイント、相互利用に熱心なところなど、nimocaは革新的かつ野心的なサービスになっている。福岡の交通ICの嚆矢として、nimocaの今後に注目である。

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