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» 2008年05月19日 09時34分 UPDATE

藤田正美の時事日想:バラク・オバマで決まり? 米民主党大統領候補

米大統領選の民主党候補者指名レースを1月に撤退したエドワーズ氏が「オバマ支持」を表明したことで、窮地に追い込まれたクリントン。彼女が大逆転する可能性はあるのだろうか? すでに予備選の興味は“その後”に移ってきているようだ。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 激戦が続いている米民主党の予備選挙。バラク・オバマ上院議員とヒラリー・クリントン上院議員の一騎打ちになってから、なかなか決着がつかない。というよりはオバマにリードされているクリントンに対して、そろそろ「予備選から撤退したら」という圧力がかかっているのに、クリントンは「絶対に降りない」と言い張っているという構図である。

 そうした中で、5月14日に「オバマ候補を支持する」と表明したのが、この予備選に参戦していたエドワーズ元上院議員である。支持を表明する演説でエドワーズ氏はこう語った。「いま米国に大胆なリーダーシップが必要だということを理解している男がいる。それはバラク・オバマだ」

なぜエドワーズはオバマ支持を表明したのか?

 エドワーズ氏が予備選から撤退したのは1月末のことだった。当初から得票が伸びず、まったく勝つことができなかったからだ。降りることを決めたときに、オバマとクリントンのどちらを支持するかと聞かれて、エドワーズは「態度を明らかにするのはまだ先のことだ」と答えている。

 なぜこの時期にオバマ支持を表明したのか。それはウエストバージニアでクリントンが圧勝したからだとCNNは伝えている。

 「オバマでは白人ブルーカラーの支持を得ることができない」とクリントンは主張する。現に、大学を卒業していない白人有権者で見ると、クリントンとオバマの差は50ポイントに達し、さらに年収が3万ドル未満の場合はさらに差が広がって60ポイントになるという。

 このまま夏の党大会まで民主党の候補者が決まらないと、オバマが白人ブルーカラーに弱いという事実が浮き彫りになるかもしれない。そしてオバマや民主党に深い傷を残すかもしれないため、エドワーズはオバマ支持を表明したという(参照リンク)

クリントンが逆転する可能性は?

 エドワーズがオバマ候補を支持した結果、エドワーズを支持してきた全米鉄鋼労組は、「オバマを支持する」ことを表明した。

 現在の段階では、オバマ候補が獲得した代議員の数は1904人、それに対してクリントン候補は1717人である。6月3日で終了する州の予備選では、この差を逆転することは不可能だ。民主党の場合、その州の予備選あるいは党員集会での得票率に応じて代議員が分配される方式であるため、オバマによほどのスキャンダルが降りかかるということでもない限り、クリントンの逆転は望めない。

 その意味でクリントンが最後まで希望をつないでいるのが特別代議員だ。州の予備選の結果に左右されず投票することができる特別代議員は800人弱。そのうち支持候補を表明しているのが、570人ほどだからまだ230近い票がある。したがって数の上では逆転可能というのがクリントン陣営の主張である。

 確かに特別代議員の獲得でクリントンが優位だったときはこの主張にも説得力があったが、すでにここでもオバマに逆転されている。

 なりふり構わずクリントンが頑張る道としては、フロリダとミシガンの2つの州の代議員をカウントするよう民主党執行部を説得することと、もう1つは特別代議員を説得し、予備選の結果に捉われず自分に投票してくれるよう頼むことだ。

 しかしこれはどちらも実現可能性がかなり薄い。予備選の日程を党の全国委員会の意向に反して繰り上げたため、代議員を送る権利を剥奪されたフロリダとミシガンでは、候補者は選挙運動を展開しておらず、全国レベルで人気が高かったクリントンが両州で勝った。しかしその代議員をいまさらカウントすればそれはあまりにもアンフェアである。また特別代議員は、地元の予備選の結果に左右されないとはいえ、全国の民主党支持者が出した結論を無視することは難しい。夏の党大会が近くなればなるほど、「民意」に逆行するのは勇気がいる。

予備選の興味は“敗北宣言”と“副大統領候補”へ

 こうした意味で、バラク・オバマが民主党の大統領候補になる可能性が一段と強まったということになるが、それでもクリントンが最後の土壇場で逆転する可能性があるとすれば、11月に行われる本選で、共和党のマケインに勝てるのは自分だという主張が受け入れられたときだろう。

 各種調査を見る限り、オバマとマケインなら接戦、クリントンとマケインならクリントンがかなりの差で勝利という数字が出ているからである。初の黒人大統領か、初の女性大統領か、ということになると、米国民は女性大統領の方が受け入れやすいということなのかもしれない。

 ただクリントンとしても、最後まで突っ張って11月にもし民主党が負けた場合、その敗戦の責任を追及されることは避けたいところだろう。何と言っても今年の大統領選挙は民主党が絶対的に優位だとされているからだ。クリントンがどの時点で敗北を認めるか、そしてオバマが誰を副大統領候補にするのか、予備選の興味はどうやらそこに移ってきたと言えそうだ。

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