上司の“巻き込まれ防御力”を突破せよ!必須スキル“巻き込み力”向上演習2008

自分のプロジェクトにぜひ巻き込みたい人――力のある上司。そして、そう簡単には動かせない人も――上司。今回は、どうやって上司を動かすかにフォーカスして”巻き込み力”向上を狙う。

» 2008年05月07日 10時00分 公開
[PR/Business Media 誠]
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 ほとんどの人にとって、「巻き込みたいのに、うまく巻き込めない」のは上司のはずだ。決裁権を持ち、社内ではあなたより発言権を持つ“上司”の存在は、プロジェクト成功のために欠かせない。

 でも、そもそも上司を巻き込む難しさはどこにあるのか? 実は上司には“巻き込まれたくない力”があるのだ。

上司の巻き込まれたくない力
価値観が違う
好みが違う
仕事に対するスタンスが違う
経歴が違う
ちょうど上司の出世タイミングである(!)

 例えば仕事に対する好みやスタンスが違えば、共感を得るのは難しい。同じモノやサービスを売る場合でも「法人向けの案件なら受けたいが、個人向けは単位が小さいし、いろいろと面倒でイヤだ」というスタンスの人もいる。逆に「個人向けのほうが工夫のしがいがあるし、自分が手がけた商品が世の中に普及していくのを実感できて楽しい」という人もいる。別の例でいえば、技術畑出身の上司に、あなたが営業的な視点でモノを話しても、説得はちょっと難しい。

 新規事業の提案などの場合も、上司がちょうど出世するタイミングだったりすると「No」と言われがちだ。上司にしてみれば「今はリスクを取れないから、新しいことはするな」ということになる。

 こうした上司の“巻き込まれ防御力”を突破してこそ、プロジェクトの成功はある。それぞれ見ていこう。

ステップ1:上司にうまく“伝える”には

 最初のステップは“伝える”こと(第4回記事参照)。なぜ協力してほしいのか、なにが目的なのか、どこを手伝ってほしいのか。伝えるべきことを適切に伝えるのだ。

 その際にはもちろん、直接顔を見て説明すること(メールなどで済まさない!)。そしてこのとき、企画書を作って持っていくといい。きっちり作り込んだものでなくても、要点だけをメモ書きしたテキストファイルでいいから、プリントアウトしたものを見せながら話そう。あなたはその件について何度も考えているだろうが、上司にとっては初めて聞く話。耳だけでなく、目でもポイントを確認しながらのほうが、格段に理解は深まる。

 このときに意識してほしいのが、「それが相手(上司)にとってどのようなメリットがあるのか」を明確にすることだ。あなたと上司では、会社で期待される役割が違う。

 例えばある会社の営業職Kさんのケース。

 それまでは上司に教えられた通りのフォーマットで企画書を書き、提案していたのだが、ある時「そのままでは面白くない」と思い立つ。それまでやったことのなかったスタイルの企画を立て、上司に「こういうやり方をしたいのですが」と相談してみた。しかし返事は「ノー」。理由は「無駄だからやらなくていい」だった。


 Kさんが上司を納得させられなかったのは、「やりたいこと(=そうやったらもっと面白い)」を伝えることで頭がいっぱいで、「実現したらどんなメリットがあるか」を示せなかったから。市場のニーズや実現可能性について下調べをし、上司が思うデメリット(=無駄)を超えるメリット(=売り上げが上がる、新規顧客を獲得できる、など)を打ち出せれば、上司は「やってみるか」と答えたはずだ。

ステップ2:上司のNoをYesに変えるには?

 あなたの考えや思いを伝えても、上司は「ダメだ」というかもしれない。なぜダメなのか? 理由はいろいろだ。例えば「そんなことをする時間はない」「人手が割けない」「(そんなことに頭を突っ込む暇があったら)今の仕事をきちんとやれ」「リスクが大きすぎるのではないか?」といった具合である。

 とても同意してもらえそうにない、頭ごなしにダメだと反対されてしまいそう――そんなときは、ちょっと勇気を出して上司を食事に誘ってみよう。案件の話は出さずに、食事のアポイントを取るのだ。

 少し前になったら、要件をメールなどで伝えておき、「検討をお願いします」「ご承認いただければ」などと上司に判断をゆだねておく。そして一緒に食事に行くのだ。まずは1時間できっちり切り上げられるランチをオススメする。

 食事中の会話は、軽めにプライベートの話などからスタートしよう。「○○検定を受けようかと考えているのですが、どう思いますか?」など、上司のアドバイスを仰ぐのもいい。人間は基本的に、よほどまずいモノでない限り、食事をしているときは楽しい気持ちになるものだ。食事の最後や帰り道、機嫌がよさそうなところを見計らって「先ほどの案件、よろしくお願いします!」と切りだそう。拝み倒してでもなんでも「うん」と言わせたら勝ちだ。

 「拝み倒しなんていう手は通じない」という上司だったら? 相似形の小さなことから始めて、小さな成功体験を積み重ね、成功したら少しずつ規模を大きくしていこう。「いきなり大きな予算を投入して失敗したらどうする?」と思えば、上司が慎重になるのも当然だからだ。最終目標の大きな話の前に、まずは同じような案件でもっと小規模の取り組みを進めてみよう。千里の道も一歩から。遠回りなようでも、小さな努力&成功の積み重ねこそが王道なのだ。

ステップ3:「困った上司」を軌道修正するには?

 「よし分かった、協力してやろう」と上司が言ったとしても、安心するのはまだ早い。上司は手伝っているつもりで、人を紹介してくれたり、部下を付けてくれたりするが、まるで目指す方向が違っていたりして「正直言ってありがた迷惑……」ということもある。

 そんなときに有効な方法が「上司を相手にプレゼンテーションをする」こと。会議室を取り、資料を用意して、プロジェクターできっちりプレゼンをするのだ。略式ではなく“正式に”プレゼンをするのがポイント。「先日は説明不足でしたので、改めてきちんと説明の場を設けます」といって、上司をプレゼンの場に呼び出そう。

 プロジェクトの目的は何なのか。どのような点に留意してやっているのか。改めて最初から順序立てて説明していく。このときのポイントは、自分の立場に賛同している、よく理解している仲間(部下でも同僚でも)をそのプレゼンの場に同席させることだ。会議では“数の論理”が意外に効くもの。味方を作っておくことは場の空気を支配するために有効な方法となる。

それでもダメだったら……?

 それでもダメだったら、力ずくで。企画を立て、書類もすべて作ってそろえておき、「あとはここにハンコをいただくだけです!」と持ち込んでしまうのも手だ。さらに、上司のさらに上の立場の人に話をしておき、“上から言ってもらう”というのも奥の手としては有効だったりする。

 え、そんな強引なことできないって? いやいや、おとなしい人が増えている昨今、それくらいの熱意と努力があれば、大抵の希望は通るもの。健闘を祈る!

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提供:株式会社社員教育研究所
企画:アイティメディア営業本部/制作:Business Media 誠 編集部/掲載内容有効期限:2008年12月31日