なぜ私は、にしおかすみこが好きなのだろうか? 郷好文の“うふふ”マーケティング(1/2 ページ)

» 2008年04月24日 14時51分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

 マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年よりビジネスブレイン太田昭和のマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」


 2008年2月に行われた、東京マラソンのTV中継を観ていた。“どげんかせんといかん知事”や女子アナ、芸能人が次々にゴールする中、マラソン初挑戦ながら4時間45分35秒という好タイムでゴールしたのはにしおかすみこさん。1万4014番目のゴールインだった(公式ブログへの書き込みによる)。

(出典:ワタナベエンターテインメント)

 マラソン中継の合間に映された、にしおかさんの苦節時代の映像に筆者は吸い込まれてしまったのだ。ネタ作りのためキャラを13パターン作ったがウケず、14個目の“女王様ドSキャラ”がブレークした。マラソンに備えて、ボンテージでもムチでもなく、ジャージでまじめに練習という落差にひかれたのだ。

 マラソン後「途中からスタッフやカメラマンとはぐれて、迷子になったんですよ。芸人だっていうことは、最初から忘れていましたね」と寄稿した手記や、「14年間、休んでいたようなものなので」という彼女のブログにあるつぶやきにも好感をもった。「そこをウリにするテレビ局や所属プロダクションのイージーターゲットですよ」と指摘されそうだが、まさにその通りなのだ。

ボンテージとマラソンのウラにあるのは

 ドSキャラで売る彼女が“実はドMです”という、開脚大前転のようなイメージの転がりっぷりに、筆者はあっさりひかれてしまう。それはなぜだろうか? と考えてフト思ったのは、チャーミングな彼女のボンテージ衣装(最近まで一張羅だったという)と、マラソンランナーとしてひた走るゼッケン姿が重なり、“ドSと見せかけて、実はドM”かもしれない、と考えたのだ。

 ボンテージとマラソン、まさにSとMのセット!「イジめてあげようか?」というSの心理と、「(42.195キロメートルも走って)自分をイジめたい」というMの心理がセットになっている。ステージで女王様キャラから普段キャラにコロリと変わるのと似ている。

 そう考えると彼女と東京マラソンのセットは象徴的だ。お笑いキャラはドSだが、素性はドMというイメージ戦略の一端とも読める。そこまで計算づくなのだろうか?

人気者、転じてドSで炎上

 計算があるかどうかはともかく、私たち自身が“ドS、実はドM”という心理の間で揺れる存在なのだ。

 気軽に、というと少し語弊があるが、匿名で全員参加ができるドS行動に“ネットの炎上”がある。最近ではその態度や発言をめぐり、沢尻エリカさんや倖田來未さんがネット掲示板であらん限りの罵声を浴びて燃え上がった。わざわざ書き込みをしなかった人も「あの態度はダメ」とか「同性への思いやりがない」と思ったはず。そんな空気が波動して、2人は世間様のドS攻撃に身をさらされた。

 もっともキャラの違いなのか、燃え方は違った。倖田さんへは広く容赦ない燃え上がりだったが、コンサートで謝罪したことにより、火は鎮火した感じ。一方、沢尻さんへは、いまだに火がくすぶっているようだ。態度にも倖田さんは「まだイジめるの? 涙がとまらないワ」、沢尻さんは「まだ私をイジめるの? 受けて立つわよ」という感じがある。

ドM運動もドMグッズも流行中

 さて昨今のマラソンブームでつくづく思うのはドM人口が増えていること。先日会った元同僚はたびたびトライアスロンに出場し、数年前の“お腹の丘”はすっかり平地になっていた。筆者も時々自転車に乗って、向かい風に挑むのがイヤではなくなってきている。

MBTカジュアル 22w(3万3600円)

 昨年から流行しているマサイ族の歩行用具、「マサイ・ベアフット・テクノロジー」のスニーカー。履いて歩くとその不安定さに最初は転びそうになるそうだ。グラグラして歩けなくて、しばらく筋肉痛に悩まされるのに、なんと1足3万円もする。

ボンレスベルト(3800円)

 メタボリック退治の『BONELESS BELT(ボンレスベルト)』は、マサイの靴よりお手軽にメタ肉をイジめる。それにしてもなんてグッとくるネーミングでしょうか。

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