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» 2008年04月17日 11時22分 UPDATE

ドクトル・ピノコのプチ元気の薬:第1回 花粉症のつらさを少しでも緩和しよう

女医のドクトル・ピノコが、日々つらいことの多い現代人の体と心にお届けする医療コラムがスタート! ある時には親切に、またある時には愚痴っぽく、健康に役立つ内容をつづります。第1回は、毎年苦しむ人も多い花粉症とその治療法についてです。

[ドクトル・ピノコ(企画:ソフトバンク クリエイティブ),ITmedia]
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 かわいい新入社員を口説こうにも、生意気な部下へ説教しようにも、彼氏へいつもより甘えてみようという時でも、鼻水たらしていては雰囲気は台無しである!

 あ、すいません、いきなり興奮してしまいました。今年も一年で最も嫌な季節がやってきているので、鬱屈(うっくつ)しているもので。私は毎年この時期になると、満開の桜の花よりも自分の鼻が気になる人なんです。そう、花粉症の症状に悩まされているわけでして。この苦しみを共有してくださる人も多いはず。

 そろそろピークの時期は過ぎるとはいえ、まだまだ結構ツライ今日このごろ。くしゃみ、鼻水、鼻づまりでイライラしたり頭がボーっとしたり……。仕事の効率がぐっと悪くなったりしていませんか。そんなつらい症状と戦いながら働く皆さんに少しでもお役に立てればと、意外に知られていない花粉症治療について今回はお話ししたいと思います。

そもそも花粉症って何なの?

 花粉症というのはアレルギーの一種であり、もともとはallos(変わってしまった)とergon(作用)という2つの言葉が合わさってallergyという言葉ができたといいます。まあそんなウンチクはさておき、アレルギーとはいったい何ぞや? という話から。まず、人間の体には、変なものが入ってくるとその異物から体を防御しようというシステムが備わっているわけです。

 これが花粉症の人の場合、体が花粉を悪者と認識してしまうんですね。ざっくりと言っちゃえば、悪者が体に入ってくると、それに対抗するために「抗体」という物質を体が一生懸命作って悪者から体を守る準備がなされるわけです。そして次にまた同じ悪者、つまり花粉が入ってくると、なんとかそいつを追い出そうとしてさまざまな反応、つまり花粉症の症状が出るというわけです。

 侵入してきた花粉を追い出すために、くしゃみや鼻水を出したり、これ以上花粉が入ってこないように鼻づまりを起こしたり。実は私たちの体は悪者から身を守ろうと必死に頑張ってくれているんですね。うーん、体が私たちのために頑張ってくれているが故の症状で苦しめられてしまうだなんて、これはなんとも皮肉な話。

対処法はいろいろとある

 実は現在のところ、花粉症を完全に治す治療というのはまだないのです。あー、自分で書いてへこんでしまいましたわ。よく病院で処方される花粉症の薬というのは、根本的に花粉症を治すものではなく、あくまでも症状を和らげているだけ。では、どのようにして花粉症と戦っていけばよいのでしょう。

 私は患者の方にいつも、「花粉症の一番の治療は体に花粉が入ってこないようにすることです」とお話しています。どんな薬を飲むよりも、どんな注射をするよりも、まず体に花粉という異物が入ってさえ来なければ、理論的に花粉症の症状は起こり得ないんだもの。

 もちろん現実的に、この時期に全く花粉に接しないというのは無理な話だけど、できるだけ入って来る花粉の量が少なくなるように努力することは簡単でしょう。部屋にいる時には極力窓を閉め、空気清浄機を使ったり、外出するときにはマスクやゴーグルを付けたり、部屋に入る時には体に付いた花粉をはらったり……。とてもシンプルで当たり前のことですが、これらの事をするだけで症状はびっくりするほど軽くなることが多いのです。

 次に、既に花粉が入ってきて症状が出てしまってからの対処法について。大きく「薬による治療」と「手術による治療」に分けられますが、手術は鼻づまりの原因となるポリープを取ったり、曲がった鼻の仕切りをまっすぐにして通りをよくしたり、と花粉症のそのものの治療ではなく、あくまでも鼻づまりをらくにするためのものです。

 薬による治療として、まず1つは最も一般的な、飲み薬や点鼻薬などの治療があります。よく使われるのは抗ヒスタミン剤の飲み薬やステロイド、血管収縮薬などの点鼻薬ですが、結局これらも、「症状を楽にしている」だけであって、根本的に花粉症を治しているわけでは全くないのです。さらに薬の成分によって眠気が生じ、逆に仕事の効率が悪くなることもあるのがつらいところ。

面倒で大変だけど効果のある「減感作療法」

 では、花粉症を根本的に治すことはできないのでしょうか。一番それに近いものとしては、「減感作療法」という治療があります。分かりやすく言うと、アレルギーの原因となる悪者(例えばここではスギ花粉とします)のエキスを少しずつ体に注射していきます。つまり、わざと花粉エキスを体に入れていくことによって、体がその悪者にだんだん慣れていく、というもの。

 そうすると、春になって本物の花粉が体に入ってきても、アレルギー反応が起こりにくくなり、症状が軽くなったり全く出なくなったりするんです。すごーく嫌いな同僚でも、隣のデスクで毎日仕方なく顔を合わせていればだんだん仲良くなってくるようなものかしら? 実際この治療で、一年中全く薬を使わなくても大丈夫になる患者さんがたくさんいます。

 ただし、減感作療法にもいくつか欠点があります。その中で最も敬遠される理由は、「毎回注射をされて痛い」ということなんです。エキスを体に入れるために、腕に注射をします。これを、最初は週に1回、その後2週に1回、落ち着いたら月に1回と続けていかなくてはなりません。どの時点で治療を終了するかは人によって違いますが、ほとんどの場合、通算の注射回数は100回を超えることになります。注射が好きな人はあまりいないので、だんだん病院に行くのが嫌になり途中で辞めてしまう人が多いというのも納得ですね。ちなみにMな私としては、痛いお注射をされるのはちょっぴり良かったりするわけですが、こういうのはごく少数意見なんだろうなー。

まずは手軽な予防法から始めよう!

 最近のトピックとしては、この注射の代わりに、エキスを口の中に2分ほど含むだけでいいという「舌下減感作療法」というものが注目されるようになりました。

 まだ現在はごく限られた施設で、研究という位置づけで行われている段階なのですが、これが一般的に受けられる治療になる可能性はかなりあります。そうなると、エキスを口に含むだけなので注射と違って痛くもないし、患者さんが自宅で自らできるようになり、通院の頻度もぐっと減ることになるわけで、「これならやってみようかな」という人も増えるかもしれません。何とも画期的なお話! 合コンの話のネタにしたら若いギャルが「スゴーイ!そんな事知っててカッコイー!」って言ってくれるかも(言わないかも、どっちでもいいや)。

 花粉症の症状によって集中力がなくなり、仕事がはかどらなくなっているあなた。まずは簡単にできる「予防法」からぜひ実践してみてください。花粉症の治療法は日々進化しています。私も鼻たれなくなったら、もう少しモテるようになるかしら。

今回のポイント

  • 花粉症治療の第一は「予防」! マスクや空気清浄機など、うまく活用して。
  • 症状を抑える薬はいろいろあるので、症状や体質に合わせてチョイス。それらによる眠気などの副作用には注意。
  • 根本的に治すなら減感作療法。注射がどうにもつらいという人は、新たな治療法の実用化まで待つという方法も!?

著者 ドクトル・ピノコ

女医。医大生時代には体育会に属しつつ、某社キャンペンガールや大手塾講師など数々のバイトもこなし、現在、酒と体力だけには自信アリの超体育会系の外科医として某病院にて働く。趣味は、酒、男、足裏リフレクソロジー。現在、「週刊ビジスタニュース」月イチでコラムを連載中。ぼちぼち書き仕事も募集してます。


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