ドイツ製の“X”を見て、再びさすらいの旅が始まる郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)

» 2008年04月10日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]
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システム手帳vs. Xシリーズ

 ラバーバンドといい時計バンドといい、なぜそんな素材や機構を手帳に採用したのか? 開発元のX17 GmbhとX47 GmbH、両社のCEO、Matthias Buttnerの説明を表にまとめた。

 彼は10数年間、既存のシステム手帳の改善を続けてきた。その成果がバンドや時計軸という機能なのである。「厚くて重くて書きにくいシステム手帳を、なぜ使うんですか?」Buttnerさんはこう問いかける。その問いは私の胸に刺さった。なぜなら筆者は“死屍累々(るいるい)のシステム手帳ユーザー”だから、死屍累々(の一部)をお見せしよう。

これまで使用してきたシステム手帳の一部

 (1)はバイブルサイズ。社会人なりたての頃からシステム手帳を愛用した(写真のファイロファクスは最近のもの)。そのうち外出することが多くなり、背広の内ポケットに手帳を入れたくて(2)のスリムサイズのバイブルに転向した。このサイズを4つほど買ったが、結局胸が重くて肩が凝るので使用中止に。

 次はA5サイズのシステム手帳(3)の時代に突入した。複数の仕事をオールインワンで管理したかった。これも薄いタイプや厚いタイプを、4つほど購入した。仕事も手帳も管理しきれなくなって放棄した。ちなみに(4)は超整理手帳で2年継続後、蛇腹紙を折りたたむのが面倒になってやめた。(5)は米国製の6穴手帳で、ほとんど使わなかった。インチという大ざっぱさが、どうも肌に合わなかったからだ。


 筆者は仕事の合理性を追求する真面目なビジネスパースンなのか? はたまた手帳業界のイージーターゲットに過ぎないのか? いずれにせよ死屍累々なのは否定できないが、手帳と仕事の関係を整理してみたい。

なぜ私たちは手帳でさすらうのだろうか?

 手帳に求める機能は、基本的に2つの軸で説明ができる。スケジュール管理優先か、発想優先か、それが「段取り−アイデア軸」。手帳を携帯したいのか、バッグに入れたりデスクの上に置くか、それが「据え置き−携帯軸」。この2つの軸のどこかを優先して手帳の大きさや形が決まる。

 だがこの2軸だけではシステム手帳の最大の特徴である“自分だけの手帳作り”を表現できない。もう1つの軸、「自分スタイル−おまかせ仕様」をタテに足す必要がある。システム手帳の最大の特徴は“自由”、リフィル選択の自由である。システム手帳派はこのタテ軸の“自分スタイル”を昇り、逆に能率手帳派は“おまかせ仕様”で満足する。

 Buttnerさんの手帳は「もう1度自由への旅をしないか?」と筆者に問いかける。さらに従来のシステム手帳を否定する、彼の商品開発魂が「今のシステム手帳では満足できないだろう?」と筆者の心を揺さぶってくる。ああ……自由なる手帳探しの旅が、再び始まるのだろうか。

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