HSBCプレミアでは顧客ごとに担当者が付き、資産運用のプランを作成しているが、あくまで「顧客のニーズに基づいたコンサルティング」(松田支店長)だという。顧客の年齢や家族構成によってライフイベントは異なってくるが、住宅など必要な資金を把握して、基本的に“備える”という点を重視してプランを作成するそうだ。このほかどれくらいの期間、どの程度の運用利回りを目指すかなど、資金ごとに運用目的を明確にして、顧客に許容できるリスクを把握してもらう。そして「顧客には定期的に運用状況を見直してもらうことで、“かかりつけの医者と患者”のような関係を目指している」(松田支店長)
こうしてHSBCプレミアが扱う外貨預金や投資信託などの中から、顧客の資産運用のプランを作成していく。時には他社の金融商品を勧めるなど、HSBCプレミアにとって“不利益”なことを、自ら提案することもあるという。「目先の利益ばかりを追いかけるのではなく、顧客の満足度を高めてもらうことが大切。ヨーロッパのPBのように、『親子3代でHSBCプレミアを利用している』といった顧客を増やしていきたい。そのためには顧客にとって良い金融商品であれば、他社のモノであっても保有することを勧めている」(松田支店長)と話す。
HSBCプレミアでサービスを受けるには、常時1000万円以上が必要、というわけではない。預金口座及び取引内容において、日々の残高合計を月初から月末まで合算し、その総額をその月の日数で割った平均残高が1000万円未満になると、月額5000円の手数料が必要となる。実際、いきなり1000万円以上預ける人は少なく、数百万円から取引を始め、徐々に増やしていく人が多いという。ちなみに口座を開く場合、「0円」からでも開設することができる。
HSBCプレミアが扱う金融商品は円・外貨預金のほか、投資信託、保険商品などがあり、今後は「家計と資産運用ニーズに適した商品をそろえていく」(広報部)方針だ。また5〜10年後には、全国に50店ほど出店する計画がある。
これまで、いくつかの外資系金融機関が日本でPBを試みてきたものの、いずれも「成功した」とはいえない。いまだ日本で定着したことがないPBだが、HSBCプレミアの戦略は成功するだろうか。金融資産1000万円以上に限定し、全国に50の支店を構えたPBは前例がないため、今後の動向に金融界も注目している。まずは団塊世代の退職金をどれだけ囲い込めるか――これがカギとなりそうだ。
金融商品 | HSBCが取り扱う金融商品 |
---|---|
外貨預金(普通/定期) | 米国ドル、ユーロ、英国ポンド、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、スイスフラン、カナダドル、香港ドル シンガポールドル、メキシコペソ、南アフリカランド、ロシアルーブル、トルコリラ(いずれも募集期間限定) |
ストラクチャード定期預金 | 日経平均株価や金価格などの連動を目標にした、積極的なリターンを目指す預金 |
投資信託 | 国内株式や海外株式など、50以上の商品を扱う |
保険商品 | 変額個人年金保険(円建て) 変額個人年金保険(円建て、米ドル建て、ユーロ建て、オーストラリアドル建て) 海外旅行保険(円建て) 収入保障保険(円建て) |
住宅ローン | 普通預金と同額のローン残高には金利がかからない預金連動型ローン |
円預金 | 普通預金と定期預金 |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング