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» 2008年04月03日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:お前が変えてみろよ、おしぼりの価値観ってやつを (1/2)

おしぼり漫画をWeb展開、7つの香りの新商品――日本独自のおもてなし文化・おしぼりを、「OSHIBORI JAPAN」と称してブランド化を進める、おしぼり屋の2代目がいる。“たかがおしぼり”から“されどおしぼり”へ、2代目の戦略とは?

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

 マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年よりビジネスブレイン太田昭和のマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」


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 寒いときは温かくて、暑いときは冷たくて、私たちをホッとさせてくれるモノ、それは“おしぼり”。冬なら顔いっぱいにおしぼりを広げてホンワリしたい、夏なら汗でベトベトの額をゴシゴシしたい、しかし不作法なので手を拭くだけで我慢している人もいるだろう。行儀が良くても悪くても、おしぼりには日本人のホスピタリティ(おもてなし)を感じるのだ。

 そのおしぼり屋、「飲食店へ出入りする業者」というイメージがある。その「たかが……」を「されど……」に、さらに「OSHIBORI JAPAN(おしぼりジャパン)」という統一事業ブランドへ押し上げようという、おしぼり屋二代目が東京都国立市にいる。「ニッポンにおしぼりアリという」ブランディング(ブランドを構築するための活動)、そして傑作“おしぼり漫画”に引かれた。

おしぼり屋なんかに、というくやしさが原点

 「悔しかったんです」――藤波タオルサービスの二代目、藤波克之さんは開口一番こう語った。さらに「なぜおしぼり屋なんかに……と言って笑う人もいました」とツライ思いもした。

 幼いころから父の創業したおしぼり屋に出入りして、夏休みや冬休みにアルバイトもしていたとはいえ、家業を継ぐ意識は薄く、七光りで経営者ぶるのも嫌だった。だからサラリーマンとして大企業(NTT系列のIT企業)に就職した。システム営業職として仕事にヤリガイを感じていたが、やがて学閥も強い会社でどこまで自分がやれるか限界も見えてきた。そして専門学校に通いながら、コンサルタントを目指した。

 だが2つの契機があり、おしぼり屋になることを決心する。1つは自身の結婚式で、祝い客に来る父の友人の多さにびっくりしたこと。もう1つは4年前の父の入院だった。それで家業を継ぐ決断した克之さんは、おしぼり屋にPower PointやWebサイト、ブランディング、漫画を持ち込んだ。こう書くと“若殿ご乱心”のように聞こえるが(実際に“バカ殿”とからかう社員もいた)、彼には二代目として家業を“事業”にする決心があった。

yd_manga.jpg 漫画『ドビィーくん』第一話

おしぼりの価値観を変えるために

 克之さんのおしぼりへの想いは、まさに奔流のように熱くとどまることがない。彼のおしぼり事業の起点は、この漫画にあるひとコマだ。「お前が変えてみろ、おしぼりの価値観ってやつを」――。

 克之さんが“おしぼりアーチスト”の笹川勇さんと出会い、生まれたおしぼりドビィー君。国内外の旅先(ミラノスカラ座やニューヨークや沖縄など)へドビィー君を連れ出しては“アート”を写してきた。

yd_dobby.jpg  

 そのドビィー君を主役にしたのが「おしぼり人間 ドビィーくん」。漫画家志望の大戸タカシさんを社員の中から見い出し、熱血おしぼり社員の純平が、大型洗濯マシンに閉じ込まれてドビィーくんになってしまう物語を創作した。現在第5話まで掲載、6話では意外な展開になるとか。

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