インタビュー
» 2008年03月31日 12時00分 UPDATE

EC最前線インタビュー:“男性が花を買う”需要をネットで喚起――日比谷花壇・川西啓太氏 (1/2)

ネット通販サイトは、大きく2つに分けられる。1つはネット販売に特化し、リアル店舗を持たないサイト。もう1つはリアル店舗も持っているサイトだ。日比谷花壇が運営する「hibiyakadan.com」はもちろん後者。全国に店舗を展開する同社は、ネットをどう生かしているのだろうか?

[吉田卓司,Business Media 誠]

EC最前線インタビューとは?:

 “インターネットでモノを売る”ECサイト。「ネットでビジネスができるの?」などといわれたのも今は昔。現在ではネット通販は、新しい販売チャネルとしてすっかりユーザーの間に定着している。

 しかし、ただWebサイトに商品を並べるだけでは、モノは売れない。ネットでモノを売るには、リアル店舗とは別のノウハウや企業努力が必要になる。ネットでモノが“売れている”会社には、他社とは違う強みや戦略があるのだ。

 「EC最前線インタビュー」は、“最新ではなく最前線”をコンセプトに、数あるECサイトの中から第一線で活躍しているサイトをピックアップする対談連載。食品ECサイト「Oisix(おいしっくす)」に立ち上げから携わり、現在はECコンサルティングを行う吉田卓司氏が、現場の目線で「ECの今」を聞いてゆく。


 春は出会いと別れの季節。花束を抱えている人を街でよく見かける季節でもあります。実際、春にはフラワーギフトの需要がグッと高まり、中でも母の日ギフトは年間需要の半分以上とも言われます。

 「花を贈ろう」と思ったとき、あなたはどこで花を買いますか? 「花屋に行くのは恥ずかしい」「買ったことがないから、いくらくらいの予算でどんなものが買えるのかも分からない」――そんな男の人にとって強い味方になってくれるのが、フラワーギフトを扱うネット通販。フラワーギフトは、ネット通販との親和性が高い商材の1つです。

 2001年にスタートしたhibiyakadan.comは、生花販売大手の日比谷花壇がネットで展開する通販サイト。EC最前線インタビュー連載第6回目は、日比谷花壇EC事業部部長の川西啓太氏に、hibiyakadan.comがどのような戦略で勝負していくのか、日比谷花壇のネット戦略を聞いていきます。

ay_ec01.jpg hibiyakadan.comのトップページ

オープン6年でフルリニューアル、その狙いは

ay_ec05.jpg 日比谷花壇 EC事業部 部長の川西啓太氏

編集部 本日はよろしくお願いします。実は先日、実際にhibiyakadan.comを使って、人に花を贈ってみたのです。恥ずかしながら私は花についてまったく知識がないのですが、あまり困ることもなく、思っていたよりも楽しく花を選べたのが驚きでした。

川西 男性にもっと花を買っていただく、そういう需要の喚起は我々も狙っているところです。実際に、我々の店舗に訪れるお客様は女性のほうが多いのですが、hibiyakadan.comを利用される方は男女半々くらいなんですよ。男性は、見やすさや選びやすさを重視する傾向がありますから、サイト作りでもそこは意識しています。

吉田 サイト作りといえば、hibiyakadan.comは昨年(2007年)リニューアルをしましたよね。その理由や狙いを教えていただけますか。

川西 見せ方の部分や運営、全体のコンテンツの整理などさまざまな点で課題があり、リニューアルしました。だいたいこうした箱物(注:ここではネットショップ)は1つの目安として、5年くらいでリニューアルを図るものだという認識があります。

吉田 具体的に、どのような改善をしたのですか?

川西 まずフラワーサービス総合サイトとしてオンラインショッピング、全国の店舗情報、ブライダルフラワーコーディネイト情報などのコンテンツを統合しました。また大切なイベントを知らせ、おすすめの商品やサービスを提案するカレンダー機能なども充実させました。

吉田 なるほど。これまで分散していたコンテンツをまとめて情報設計し、トップページはポータル的にまとめ、機能をいくつか追加したということですね。リニューアルの結果はいかがですか?

川西 まだまだこれからという感じですね。サイトが見やすくなったという意見も、逆に見づらくなったという意見もあります。情報コンテンツはとても増えました。ただ、ショッピングサイトとしては、まだまだ見せ方など工夫が要るのかなと。お買い物をしにきた方が迷っているというアンケート結果も出ています。買い物をしに来るお客様には分かりにくいのかと思い、その点の改善に努めています。

吉田 リニューアルは難しいですよね。これまで使い慣れたお客様も多いので必ず最初は使いにくいと感じてしまう。でもポイントはリニューアルで安心するのではなく、その後改善を続け、いわゆる「こなれたサイト」に作りこむことにありますよね?

川西 まさにそのとおりです。今回もお客様の目的、購入形態、価格などをお客様に分かりやすい配置といった改善を行ったわけですが、今後さらにお客様の声を聞きながら改善が必要になりますね。

吉田 お客様の声を、具体的にどのように取り入れるのでしょう?

川西 アンケートが一番ですね。ヒアリングもしていますが、人数に限界がありますから。アンケートであれば全体最適化を図ることが可能です。

吉田 ほかにリニューアルで効果が出たことはありますか。

川西 内部的な話になりますが、Webに一部CMS(コンテンツマネジメントシステム)を導入したことです。慣れも必要でしたが、販売に注力できるようになりました。

吉田 つまりは、Webオペレーション業務の効率化、ということですよね?

川西 そうです。オペレーションコストでも2つあります。業務そのもののコストが削減されたことに加えて、コンテンツの整理が進んだため効率が上がりました。まだ初期段階なのでここからさらに効率的になると思います。

吉田 御社がこれまで私がインタビューしてきた会社と大きく違うのは、リアル店舗をベースとしたサービス展開をされていることです。今回のリニューアルでは、リアル店舗に関係する変更点はありますか?

川西 いろいろありますが、例えば今回のリニューアルで、ログインするとお客様のご自宅の近くの店舗が紹介されるようになりました※。

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