「エビデンス中心主義になったこともそれを助長してますね。データを眺めるだけでは患者さんたちの思いや感情は見えませんから。それに加えて、会社からはきついノルマを課せられ、四半期ごとに営業成績を評価されるようになっています。
本来、強烈な使命感をもってMRになった人がほとんどなのに、そうした初心はどこかに吹っ飛んでしまって、ただの営業ロボットのような感じになってしまうんですね。やりがいも感じられず、会社からやれと言われたから仕方なくやっている――そういう人が少なからずいるのは残念なことです」
最近の医師たちのMR評を見ても、「人間味や面白みがなくなった」というのが目につく。「勘定を優先するよりも、感情を回復させることが先決!」そんな印象を受ける。
だが、MRだけが一方的に悪いわけではない。最近、医師の過重労働が大きな社会問題になっているように、医師たちの忙しさは時として常軌を逸している。そんな医師とアポを取るのは至難の技だし、首尾よく会えても、10分話せることは稀だ。いきおい、医師の通りそうな場所で待ち伏せをして、「30秒トーク」「1分トーク」で自社製品名を連呼し、「よろしくお願いします」を連日繰り返すことになる。こうしてMRは、自分の評価対象となる訪問回数やコール(商品説明)回数を稼ぐことになりがちだ。
世間に誤解され、ノルマに追われ、医者とじっくり話すことも、薬によって救われた患者の姿を見ることもできず――。こうした状況に対して、「MR応援団長」を自他共に認める近澤氏は、一体どのような対策を打ち出しているのだろうか?(→後編に続く)
→「人のために生きる」が夢だと気付いた瞬間――知られざるMRの世界(後編)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング