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» 2008年03月06日 11時36分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:早割でも遅割でも、ご結婚は計画的に

早割ではなく「遅割55プラン」をご存知だろうか? 海外挙式の基本料金が5万5000円で、申し込んでから55日以内に式を挙げるというサービスだ。ウェディング需要が縮小する中で、“遅割”で狙うターゲットとは。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

 マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年よりビジネスブレイン太田昭和のマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン


 「僕たち、忙しくて結婚式も挙げられなかったけれど、今度の休暇を“挙式バカンス”にしよう!」「待ってたわ。式と旅行を一緒にするの?」「うん、55日以内ならお得なんだ」

 休暇のスレ違いだけでなく、事情があってできなかった挙式、海外でやりませんか? というのが海外挙式「遅割(おそわり)55プラン」。私が挙式したのははるかかなたの出来事で、忘却したことさえ忘却してしまったが、このプランを知ってもう一度結婚したくなったのだ。

「5万5000円、55日以内」に結婚しよう!

 遅割55プランは、挙式関連サービスを提供するワタベウェディング(ワタベ)が創業55周年を記念して“55”の数字をかけたお手軽プラン。

遅割55プラン

挙式基本料金=5万5000円(海外での挙式料金)

申し込みから挙式までの日数=55日以内

遅割専用オプション=5万5000円(新郎新婦のヘアメイクと衣裳レンタル)


 挙式費用には「教会」「牧師への謝礼」「音楽」「介添え」「結婚証明書」「生花ブーケ」「ホテルからの送迎リムジン」「式次第」「お祈り」「レイ」が含まれる(ハワイのアロハ・ケ・アクア・チャペルでの例)。一般的に海外での挙式料は「安い」と言われるが、これで5万5000円は間違いなくお得だろう。ヘアメイクと衣裳レンタルを入れて合計11万円、ハワイ、グアム、オーストラリアの各2カ所、計6カ所から選択できる。

 美しいハワイ、近いグアムも捨てがたいし、オーストラリアもいい……悩むなあ。おっと『Men's ゼクシィ』なる雑誌はまだ出ていないので、決めるのは新婦だ。いや今どき、ニートなカレがインターネットで結婚情報を探り、綿密に計画を立て、それを働き手のカノジョが承認するのもアリかもしれない。

yd_go.jpg アロハ・ケ・アクア

 自社でチャペルを持っているワタベだからこそ、この遅割55プランが実現できたのかもしれない。「愛」や「結婚」というポジティブワード、しかも「海外でお得」に引かれて、ワタベをうかがった。

らしさ、地味婚、リワインドがターゲット

 遅割55プランのターゲットはいくつかある。「大げさなことしなくてもいいじゃない」と式は親だけ呼んで、披露宴は自分たちらしくやりたいと考える人たち。多忙でも席札ぐらいは私たちでしようという“らしさ重視型”や、何らかの理由(できちゃった婚や再婚、年の差婚など)で、式も披露宴もこじんまりしたい“地味婚型”。そして「結婚式、していなかったね。余裕ができたから挙げないか」という“リワインド型”に分かれる。

 共通するのは、何カ月も前から「しっかり隅々まで準備する」一般的なカップルとは違い、従来の結婚式が自分たちらしくないと感じる“ふたり式”を重視する点だ。さらに、世話になった両親を海外に連れだそうという親孝行もある。そんな感覚が「挙式省略」「海外フォトプラン」など、今どき挙式トレンドにつながるようだ。こんな願いをチャペルの空き時間で実現するという、一挙両得をねらって企画されたプランである。

yd_go1.jpg

 創業記念キャンペーンとはいえ5万5000円。コスト削減のため、広告なし+Webサイトのみでの受け付けだが、販売2週目ですでに8組が予約したという。ワタベの担当者は「まずまずの出だし」というが、知名度が上がれば毎月55組限定なのですぐ埋まるだろうし、ひょっとすると知り合って55日以内の“衝動結婚カップル”もやってくるかもしれない。

式と宴を分離した“紀香ウェディング”

 ふと思いだしたのが“紀香ウェディング”だ。招待客700人、総費用5億円とも言われたあのド派手な結婚式。披露宴はイベントてんこ盛りで“田舎丸出し”と言われ、女性からはやっかみ半分で「披露宴てダサくない?」という感想も多かった。だがマリアベールも素敵だった紀香さんの式から「ハハン」と思ったのは“式と宴の分離”である。

 紀香さんたちは別の日に、近親者だけでおごそかな挙式を済ませた。だが披露宴では父親とバージンロードを歩く演出、さらに郷ひろみさんを呼んで「お嫁サンバ」を歌ってもらうおもてなし(ちなみに私の“郷”は本名だ)。

 式と宴を分ければ、宴の窮屈さ(仲人や両家あいさつ、お涙)から解放されて、おごそかと自分たちらしさを両立できる。

デスティネーション・ウェディングで寄り添って

 2000年、2001年は「ミレニアム婚」ブームで80万組弱の結婚式があった。少子化と晩婚化で2008年には70万組を切るまでに需要が縮小し、ワタベでも「50万組時代」の到来を予想する。だがその中でも、海外挙式組数は増えているのだ。2000年には5万8000組が海外で挙式をあげたが、その後の落ちこみ期間(テロやSARSなどの影響)を経て、2008年には5万3000組まで回復しそうだという。

 「なぜ海外挙式なのか?」と問うより、「なぜ海外で挙式を挙げられないのか?」と質問を逆にすれば事情が見えてくる。ゼクシィの「結婚トレンド調査2006」によると、海外挙式希望カップルのうち、実際に海外挙式するのは3組に1組だ。しかし列席者の休暇や費用などの制約さえ解消できれば、「海外挙式は3倍に増える」とワタベでは見込んでいる。

 海外挙式の良さとは「日本ではない」こと。実は私、カリフォルニアで日本人カップルの式に出席したことがある。生バンド演奏で歌えや踊れや、トレインダンスで盛り上がり、出席料も安く(たったの20ドル)、とても楽しいパーティーだった。そしてウェディングには、突き抜けるカリフォルニアの青い空がよく似合っていた。

yd_go2.jpg カリフォルニアでの挙式

 挙式+旅行のセットを「デスティネーション・ウェディング」という。日常やしきたりから離れ、旅と式でたっぷり寄り添える“ふたり式”。寄り添いすぎるのもナニではあるが。

じっくり急いで決めよう“ふたり式”

 「日本から旅して、やっとふたり式だね。飽きるまで君の顔を見つめていたい」「(小さくアクビして)披露宴のプランも考えなくちゃね」。飽き始めは新婦からやってくる、たいていは……。

 独身の女性は25歳で「そろそろゼクシィ」、30歳で「行かなきゃゼクシィ」、35歳になると「遠のくゼクシィ」と思うらしい。だからといって遅割=“遅れそうで割り切る”のはよくない。早割=“早まって割り切れない”人もいる。55日以内で挙式ができるのは今年いっぱい。じっくり急いで決めよう。

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