成果主義を反映した処遇格差、大手企業では“当たり前”

» 2008年03月04日 10時43分 公開
[Business Media 誠]

 職場でのコミュニケーション不足に悩んでいるビジネスパーソンはどれくらいいるだろうか? 会社の同僚と酒を飲みに行く機会が少なくなり、“飲みニケーション”不足を痛感している人もいるだろう。

 職場でのコミュニケーションが以前よりも「減ったと思う」人は30.7%で、「減ったと思わない」の38.2%を下回っていることが、NTTデータ経営研究所の調べで分かった。特に20代では「減ったと思わない」と回答した人が51.2%と高い。この結果について「職業人としてキャリアをスタートしたとき、すでに電子メールなどのコミュニケーション手段が存在していた。上の年代(30代〜)のように直接対話によるコミュニケーションが中心であった時代を経験していないためだろう」(NTTデータ経営研究所)と分析している。

 NTTデータ経営研究所は「ビジネスパーソンの就業意識調査」を実施した。インターネットを使った調査で、1008人(男性830人、女性178人)が回答。調査期間は2007年12月14日から12月18日まで。

仕事に対する充実感が減ると、モチベーションも低下

 仕事に対するモチベーションが高い方だと思っている人は、コミュニケーションが「減ったと思わない」が過半数を占めているのに対し、モチベーションが低い方だと思っている人は「減ったと思わない」と考えているのは25.5%にすぎなかった。逆に「減ったと思う」は「モチベーション・高位」で24.5%、「モチベーション・低位」では40.7%と大きな開きが見られた。仕事に対するモチベーションの高い人は、自ら主体的に働きかけて職場内でコミュニケーションをとっているようだ。

 現在勤めている会社で、以前よりも「1人当たりの仕事量が増えた」と感じている人の割合は58.7%を占めており、「増えたと思わない」の16.6%を大きく上回った。団塊世代が定年退職を迎え、生産年齢人口が急激に減少しつつあることも影響の1つであると推測されている。また「増えたと思う」とする割合を年代別に見ると、働き盛りの「30代」が62.5%、「40代」が61.2%と高い割合を占めている。

 現在勤めている会社で「仕事の充実感が減った」と感じている人は41.8%で、「減ったと思わない」の25.0%を大きく上回っている。男女別では、充実感が「減ったと思う」の割合は「男性」で43.5%、「女性」では33.7%と差が見られた。なお、仕事に対する「モチベーション・高位」では、充実感が「減ったと思う」人は3割弱だったが、「モチベーション・中位」では4割弱、「モチベーション・低位」では7割。「仕事を通じて充実感を得る機会が減ったことが、仕事へのモチベーションの高さに直接影響している」(同)としている。

仕事に対する充実感を得る機会が減った、と感じる人は4割

処遇格差の拡大を感じている人は4割

 以前よりも「処遇格差が拡大した」と感じている人は40.0%で、「拡大したと思わない」の21.4%を大きく上回っている。年代別では「拡大したと思う」の割合は、「20代」が26.8%、30代が36.1%、40代が45.4%、50代が46.6%と、年齢が高まるにつれて上昇している。勤務先の従業員規模別に見ると、処遇格差が「拡大したと思う」の割合は、「300人未満」の企業で34.5%、「300〜1000人未満」で39.1%、「1000〜5000人未満」で41.0%、「5000人以上」で45.9%。「近年の成果主義を反映した処遇格差は、大手企業になるほど今や当たり前の状態になりつつある」(同)という。

 「会社や上司から理不尽な指示・命令を受けたことがあるかどうか」という質問には、「ある」という回答が約3人に2人の65.6%に達した。男女別では「男性」は67.0%が、「女性」は59.0%が「ある」と回答。また年齢別では「20代」が他の年代に比べて「ある」とする割合が低かった。実際に受けた理不尽な指示や命令について、最も多かったのは「上司の個人的な感情で強要されたもの」で、55.5%を占めている。次いで「会社の一方的な都合で強要されたもの」(46.3%)で、いずれも部下に対して十分な説明をせず、会社や上司が力の論理で一方的に事を進めようとしているようだ。

正社員の間で、賃金・処遇の格差が拡大していることについてどう思うか?

将来への不安を感じている人は9割弱

 転職を考える理由は「会社の将来に不安を感じた時」が51.2%で最も多い。次いで「会社の処遇・勤務条件が悪いと感じた時」が45.5%、「自分の頑張りや成果・貢献度が正当に評価されなくなった時」が42.9%、「仕事にやりがいや興味を感じなくなった時」が42.8%と続いた。

 「将来に対して何らかの不安を感じているかどうか」については、87.6%が「感じている」と回答。不安の内容は「仕事・会社・職場に関する問題」が55.3%で多く、「社会の仕組みや制度(年金問題、環境問題、教育問題など)」が55.2%、「景気の動向」が40.1%、「家族・プライベートに関する問題」が31.0%、「物価上昇・インフレ」が30.1%と続いている。

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