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» 2008年02月25日 07時42分 UPDATE

藤田正美の時事日想:日本経済の足を引っ張る“老害政治”

日本の株価がさえない。その原因を「サブプライムローン」と見る人もいるが、本当にそうだろうか? 遅々として進まない“改革”にこそ、素因があるのではないか?

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


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 最新号の英エコノミスト誌、カバーストーリーは、日本である。JAPANにIを加えて、「JAPAIN」がタイトルだ。要するに、日本はまだ痛みに苦しんでいるということなのだろう。さらにサブタイトルは強烈だ。「なぜ世界第2位の経済大国のことを心配しなければならないのか?」

 世界経済を脅かしている最近のサブプライムローン問題(関連記事)。もともとの原因は米国の低所得者向け住宅ローン問題であり、また日本の金融界の傷は浅かった。そして東京で開かれたG7で渡辺金融担当相は、米国のポールソン財務長官に「早く政府資金を投入すべし」とアドバイスまでしたという。もっとも、日本の金融機関が助かったのは「乗り遅れたバスが事故を起こしたような話」であって、リスクを読んで避けたわけではない。

日本経済を妨げる「政治」

 このサブプライム・ショックと日本の「失われた10年」とが似通っているという議論もあるが、エコノミスト誌は「違っている点のほうが多い。日本こそ懸念の元である。しかし、それはほかの先進国が同じような経済の落とし穴にはまりそうだということではなく、日本が問題の根本的原因に取り組んでこなかったからだ」と喝破する。

 実際、現在の日本の株価は、ピーク時から見れば、ほとんど3分の1(1989年12月、日経平均は3万8916円を付けた)だ。それに比べれば、「米国のS&Pは1999年のピークからわずか8%安くなっているだけだ」と同誌は指摘する。

 「米国と日本の違いは、それぞれの国がどのように混乱し、それにどう対応したかだ。米政府は住宅ローンを細分化して、賭博場化したマーケットが巨大になっているのを見過ごしてきたことが問題だ。しかし、それへの対応は金融政策でも財政政策でも素早く積極的だった。そして金融機関は、損失額を速やかに明らかにしている。しかし日本では、政府はマーケットが膨張するのにも手を貸したし、またそれが原因で起こる混乱を隠すのにも手を貸した」

 日本経済を妨げているのは「政治である」と同誌は主張する。この部分については当該号の中に3ページの記事があり、そこで詳しく述べられている(参照リンク)

日本は日本人に任せられない

 戦後の自民党は、こうした問題に取り組むことを放棄してきた。小泉政権のときにあった改革派的な要素は、今や消え去りつつある(関連記事)。そして大きな問題は「日本はもはや一党支配の国ではない(参議院で自民党が多数を失っている)。しかし民主党が自民党と競って政権を担当できる政党ではないために、民主主義政治にはなっていない」という事実だ。

 自民党も民主党も一貫性を欠いているというのが同誌の主張である。自民党の中では古い体質の政治家が息を吹き返し、そして民主党の小沢代表は改革派の衣をまとっていたはずなのに、まるで昔の自民党のボスのように見える。

 「総選挙は現在の混乱にさらに混乱を上乗せするだけだ」と多くの政治家は言うが、同誌は「壊れたシステムの上で肥え太った政治家階級の言い草だ。有権者にはこうした状態を正す機会が必要である。その選択が混迷をもたらすとしても、選択することを実現すべきである」

 エコノミスト誌の記事は、外から日本を見たときに“どれぐらいフラストレーションに駆られるか”という見本みたいなものだ。ある米国人が言ったという言葉を思い出す。

 「日本という国は、日本人に任せられないほど重要な国だ」

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