焼酎ブームは終わった、終わってない?

» 2008年02月18日 18時25分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 経済成長に引っ張られるようにして増えていった、日本人のアルコール消費量。国税局の調査によると、アルコール消費量は1965年度に比べ、現在では2倍以上となっている。1975年度の全アルコール消費量の中で最も飲まれていたのは清酒(日本酒)だったが、その後は減少傾向にあり、2004年度には焼酎が逆転した(関連記事)

 日本酒の消費量が焼酎に追い抜かれたのは、ご存知の通り、焼酎ブームによるものだ。「幻の」という形容詞まで付いたブランドや本格焼酎を楽しめる焼酎バーの開店が相次いだが、その一方で「もはや焼酎ブームは終わった」という声も聞かれる。本当に焼酎ブームは終わったのだろうか?

アルコールの消費量(国税局+税関)

過去にも焼酎ブームはあった!

焼酎の中で最も売れているのはいいちこ。写真は「いいちこ民陶くろびん」

 健康ブームを背景に消費者の間で好んで飲まれるようになった焼酎。ここ最近のブームという印象があるが、実は過去にもブームはあったのだ。1954年度〜1981年度の焼酎消費量は平均して0.3%増だったが、1982年度〜1984年度には30.9%(同)と急激に伸ばした。前回はチュウハイが牽引役となりブームを引っ張ったが、増税による販売価格の上昇でブームは去ってしまった。

 一方、2000年度〜2004年度で見ると、焼酎の消費量は6.5%増に留まっている。分母が違うので前回のブームと比較すると伸び率は低いが、消費量の増加で見ると同レベル。そもそも焼酎には連続式蒸留(チュウハイ、サワー系など)と、単式蒸留(芋や麦、米などを原料とする本格焼酎)に分かれる。また前回は連続式蒸留の消費量が34.6%伸ばしたのに対し、単式蒸留は26.0%。今回は連続式は3.8%だが、単式は9.0%と逆転しているのが特徴だ。

 焼酎の消費量は1998年度から増加が続いていたが、2006年度には前年比で−0.02%。しかし「これでブームは終わった」というのは早合点かもしれない。前年比割れの内訳を見ると連続式蒸留は−2.2%だが、単式蒸留は2.0%伸ばしている。つまり本格焼酎については「消費量が拡大している」のだ。ただ原油価格の高騰による値上げの影響は大きく、日本銀行鹿児島支店では「焼酎ならどのような銘柄でも売れるという時代は終わった」と分析している。

 時としてアルコール飲料はブームを巻き起こすことがある。ボジョレーヌーボーや赤ワイン、発泡酒、そして焼酎……。ただ本格焼酎に関しては消費量の伸び率は鈍化しているが、まだまだ根強い人気がありそうだ。

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