第2回 儲けたら節税パソコン好きが青色申告を体験してみると?(3/4 ページ)

» 2008年02月06日 10時30分 公開
[奥川浩彦,ITmedia]

ここまではサラリーマンも共通だったが……

 ここまでの控除はサラリーマンも共通するところだ。次に個人事業主に認められた控除に触れてみたい。

 控除を増やすといっても、決算が近づいてからコントロールできるものは少ない。その中で個人事業主にお薦めなのは小規模企業共済等掛金控除だろう。個人事業主のための退職金みたいなもので、月1000円〜7万円を掛けることができ、掛金の全額が控除される。例えば月5万円を掛ければ年間60万円の控除が受けられる。年払いをしても、払った年の控除が認められるので、もうかったら年末にドンと払って将来に備えることもできる。年間84万円まで掛けることができるので節税効果も大きい。

 もう1つは今回のテーマでもある青色申告特別控除だ。申告方法には白色申告と青色申告がある。申告が簡単な白色申告では控除額は0円だ。青色申告特別控除は10万円の控除と65万円の控除がある。比較すると、

申告方法 控除額 概要
白色申告 0円 記帳義務がない
青色申告 10万円 簡易簿記による記帳
65万円 複式簿記による記帳、損益計算書と貸借対照表の提出

 ようするに細かな書類を作れれば控除額が増えるということだ。経費で65万円を使えば財布の中身が減るが、書類を書くだけならお小遣いが減ることはない

 だが複式簿記、貸借対照表と聞いてササッと書ける人は少ないだろう。筆者も全く知識がなかった。一応簿記の書籍を読んでみたが「貸方・借方、右手・左手……なんのこっちゃ」と理解できなかった。そこで登場するのが青色申告ソフトだ。小遣い帳のように入出金を入力していけば、損益計算書と貸借対照表も最終的な確定申告書も計算して印刷してくれる。白色申告は記帳義務がないといっても、1年間の数百枚の領収書を集計しなければいけない。それを電卓で足すだろうか。ITmediaの読者であれば、間違いなくPCの表計算ソフトに入力するだろう。それであれば青色申告ソフトに入力するだけで、65万円の控除が得られるわけだ。

 青色申告は開業から2カ月以内に青色申告承認申請書を出す必要がある。65万円の控除以外にも青色申告のメリットは多い。これから開業する人は、ぜひ開業届と一緒に申請書を出すことをお勧めしたい。

 2回に分けて税金や節税の概要について書いてきた。筆者の場合、不動産業でも店舗経営でも製造業でもないので、フリーランスを対象とした書籍を参考にした。さらに詳しく知りたい方のために、筆者が参考にした書籍をいくつか紹介しよう。

消費税8%時代の確定申告

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