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» 2008年01月10日 07時30分 UPDATE

保田隆明の時事日想:安倍・福田内閣で日本の株価が落ちてゆく

年末年始、大幅に株価が下落した東京株式市場。その大きな理由は「構造改革プレミアム」が消えたことにある。日本株は今は割安だという論調も多いが、現状のままではとても楽観はできないはずだ。

[保田隆明,ITmedia]

 日本の株式市場では、2007年の大納会、2008年の大発会ともに株価が大幅下落(参照記事)。日経平均は年末年始を挟んで4営業日連続の続落となり、下げ幅は1000円を超えた。ここ数日は少し落ち着いた感じがあるものの、さて、今年の日本の株式市場はどうなるのだろうか?

日本の株価下落の要因は

 日本の株価が下落してきた理由として、構造改革プレミアムが剥げ落ちたことが挙げられる。ここ数年間は、外国人投資家が日本の構造改革への期待を先行させて日本株を購入してきた。それが安倍政権、福田政権と政局が移るにつれ、「どうやら日本での構造改革とはマヤカシだったらしい」と判断、外国人投資家が日本を見捨て始めたという構図である。

 もともと日本の株式市場はPERで見ると20倍程度で評価されていた。株価は利益の何倍という形で決まるが、収益性、成長性の高い地域ほど高く評価されるのでPERも高く付く。欧米では15倍弱だったので、20倍という日本のPERは相対的に高かった。その理由が、構造改革プレミアムだったのだ。

 しかし、構造改革の後退が見えてきたこと、そして、年末に提示された政府による来年度予算案でもバラ撒き色の復活が見て取れたこと、税制改革が遅れていること、不健全な日本の財政状況へのメス入れも先送りされたことなど、「改革」の名にふさわしくない日本の現状があらわになってきた。そこで、かつて付けていた構造改革プレミアムは忘れましょう、という流れになってきたのである。

日本のPERが欧米より高い時代は終わりを迎えつつある

 日本企業と欧米企業を比べて、日本企業のほうが成長性や収益性が高いのであれば、構造改革プレミアムがなくなっても、高いPERを正当化できる。しかし成長性や収益性を比べると、日本企業はむしろ欧米企業に見劣りする状況にある。それであれば、PERで評価する際もグローバルベースで評価されるべき、すなわち、PERで15倍程度がちょうどいいだろう、ということになる。日経平均で見ると1万5000円あたりがPER15倍に該当する。

 これまで何十年も日本のPERは海外よりも高かったので、日本のPERは海外より高くて当然という論調も多く存在するが、もうそういう時代は終わりを迎えつつあるのではないだろうか。むしろ、投資家がグローバル化し、各市場をグローバルベースで同じ指標で評価する動きが加速し、日本はPERで評価される場合、欧米に比べるとむしろ低くなってしまう可能性もあるのではなかろうか。

過去と比べても意味がない

 過去の日本のPERが50倍、60倍だった頃を指摘し、日本株は今は割安であるという論調も多いが、過去に日本株を売買していた投資家と、現在日本株を売買している投資家は異なるので、過去の投資指標を現在に当てはめることはナンセンスだ。

 証券会社にしてみれば、強気の相場を予測して、少しでも多くの投資家に株式を売買してもらわないことには自分たちが潤わないので、証券会社が出す年初の株価見通しには強気なものが多く並ぶ。特に相場の地合いが悪い時によく使われるのが、「年後半には上昇局面に入る」という台詞である。

 しかし、消費税増税の問題がその後に控えていることを考えれば、今年の後半、消費者の消費意欲は高まらないだろう。消費の回復が景気拡大の鍵を握ると政府、日銀は繰り返し言ってきたが、それが年後半に実現するとは考えにくい。それで果たして本当に今年後半の日本の株価は上昇局面に入るのだろうか。

 やはり今年も我々は、海外市場での投資に目を向けざるを得ないのかもしれない。

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